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何かネタ帳に書く文章すら何が書きたいか分かんなくなってるのでリハビリがてら創作バトン行ってきます。
彰子と太陰・勾陣と天后・紅→勾・斎・紅←勾の五本で。



繋ぐ言の葉12



■言葉なんか、いらない(彰子+太陰・玉依編後)

「ずっとね、伝わるって思ってたの。分かってくれるって思ってたの。…でも、そうじゃなかったのよね」
「……姫?」

 どこかに一抹の寂しさを感じさせながらも吹っ切れたように言葉を紡ぐ彰子の真意が読み取れずに、太陰は疑問を乗せて彼女を呼んだ。
 彰子はちらりと太陰を見て、それから空を見た。久しく雨雲に隠れて姿を隠していた蒼穹は、きらきらとまるで奇跡のように美しい。

「私ね、ずっと、思ってたの。昌浩に、私のために無茶をして欲しくないって。それくらいなら、いっそ、守ってくれなくたっていいんだって、ずっと思ってたの」

 太陰に語りかけるというよりは、すらすらと紡がれる声はむしろ独語に近かった。それを悟って、太陰は今度は口を挟まなかった。ただ、彰子が話しやすいように黙って首を振り相槌を打つ。

「でもね、それを昌浩に直接言ったことは、一回だってなかった。どうしてかしら、言おうって思わなかったみたい。……言ってくれなきゃ分からないって思ってたのに、昌浩も同じなんだって分かってなかったのかもしれない」

 おそらく彰子は遠慮をしていた。自分を守るために傷つくのは嫌だと昌浩に言うことは、自分を守るために無茶を重ねる彼の行動を否定することだと思い込んでしまっていたのだ。それは昌浩を傷つけないという点では正しい選択だったのかもしれない――その時点までは。
 昌浩が、『自分を守るために大切な人が傷つく』という状況を生で体験してしまう、その時までは。彰子の取っていた行動は、二人の間にいらぬ波風を立たせない最善の策だったのだ。

「でも、それももうお終い。……さっきね、昌浩と話したの。今度は、これからは、思ってることはちゃんと全部、言おうねって」

 それぞれの思いを出来る限り共有しようと、それは三つ目の約束。

「たぶん、喧嘩をすることとか、増えると思うけど。それでも今度みたいにすれ違って昌浩を追いつめるより、ずっといいと思うから」
「……そうよ。彰子姫は何でもかんでも我慢しすぎだったのよ。安倍の男なんてみんな揃いも揃って無茶ばっかするんだから、ちゃんと言わなきゃ」
「うん」

 励ますように太陰は話す。それを受けて同意とばかりに微笑みながら頷く彰子の表情に、今まで見えていた昏(くら)い翳(かげ)は見えず。そのことに安堵して太陰も笑った。

―――――――――――――――
思ってたことを。

 

■ずっと、なんて無いんだよ(勾+后・天狐編後)

「――だから、勾陣! 動き回るのはやめてってずっと言ってるでしょう!? いい加減言うこと聞いてください泣きますよ!」
「いや頼むから泣くのは勘弁してくれ」
「なら素直に言うことに従ってください!」

 声を荒げて勾陣を叱り飛ばす天后、という大変珍しい図式が成立していた。勾陣は後ろめたさからだろう、苦い顔で両手を胸元あたりに軽く上げている。天后を宥めようと試みるものの、原因そのものが勾陣であるため天后からすればそんなこと言うくらいなら、と微妙に火に油を注ぐかたちになっている。

「…勾陣。何でそんなに苦い顔してるの」
「いや……、…つい先ほども騰蛇やら白虎やら天一やら果てには六合にも同じことを言われたんだ」
「それだけ言われてたら皆がどれだけ心配してるのか普通分かりますよね!? 分からないとか言わせないわよ、勾陣」
「……分かるが、動けるのにじっとしているというのは性に合わないんだよ」
「合わなくてもなんでもじっとしててください。皆の、というか私の心痛を増やしてるのは貴方なのよ分かってる?」
「すまな」
「いと思うなら実行して!」

 勾陣が自分には弱いのをいいことに叱り飛ばす。勾陣は苦い顔で自分を窺っているが、苦い顔をしたいのはこっちの方だ。
 勾陣を大人しくさせてくれるのなら誰が何を言っていても構わないと思う。それがたとえ騰蛇でも騰蛇でも騰蛇でも。だが勾陣に対して一番効力を持っているのは自分の説教だと天后は知っていて、だからこうやって声を荒げているのだ。
 この親友は何も分かっていない。いっそ詰る勢いで、衝撃が駆け抜けた時に自分がどれだけ底のない恐ろしさを感じたのか、満身創痍の彼女を見た時に自分がどれだけ肝を冷やしたのか、逐一語ってしまいたいのだが、自分の傷を盾にするような真似は天后の美意識に反する。

 そうだ、何も出来なかったのだ、私は。
 結局勾陣を助けたのは騰蛇で、その間、ただ震えているしか出来なかった。無事を祈って待っているしか出来なかった。
 次にまた何かがあったとして(ないことを心から願っているが)、その時もきっと、自分は祈るしか出来ないのだ。神気を解放しきった勾陣に己が向かっていったところで、殺されるのは目に見えている。
 神将にも死は訪れる。ずっとずっと前に、それは経験した。同胞との今生の別れがある日突然訪れるかもしれないことも、先日、体験した。ずっとなんて、ない。神には約束されている永遠は、しかし自分たちには約束されていない。
 だからどうしても、心配だけはどうしようもなく大きくなる。有事に何も出来ないことが嫌と言うほど分かっているから、平時には口うるさくなってしまう。
 ――それを彼女はどこまで理解してくれているのだろう。どんなに多く見積もっても、三分の一にも及ばないことは確信できる。

「…分かった、分かったよ、天后。しばらくは大人しくしておくから。だから、泣きそうな顔をするのはやめてくれ。頼む」

 きっと今の言葉だって、彼女は本当に『しばらく』したら悪気なく忘れて破ってしまうのだ。
 分かって、と思う。
 心配されるのが嫌なら、自分を大事にして。無茶ばかりしないで。それが無理なら心配くらいさせて。私は貴方に守られるしか出来ないのだから、それくらいは。
 そして叶えてくれるのならば、

「言質はしっかりとったわよ」
「…天后」
「悪いのは貴方でしょう、勾陣」

 いつか貴方がいなくなってしまうかもだなんて、そんな不安を私に覚えさせないで。


――――――――――――
そういえば心配・天后さんVer.は読んだことなかったなぁと。勾<后希望。


 
■ねぇ傍にいてよ(紅→勾)

 離れたのは始めてだ。
 今は繋がれていない水鏡を見て、物の怪はふとそのことに思い至った。
 彼女はいつだって一番近くにいた。そのことに物の怪が、紅蓮が気付けたのは本当につい最近のことだけれど。しかしそうでなくとも、紅蓮と勾陣は同胞で、会おうと思えばいつだって会える距離にいた。少なくとも物理的には。
 だから、会いたくとも会えないという状態になったは初めてだった。
 そして、傍にいないという事実に、どうしようもない不安を煽られるということを初めて知ることになる。

 彼女の全身には、消えない傷痕がいくつも残っていることを、紅蓮は、知っている。
 一番記憶に新しいのは天狐に付けられたものだ。真鉄に穿たれた傷も、跡形もなく消えたとは考えづらい。…もしかしたら、自分がつけてしまった火傷も、残ってしまっているのかもしれない。
 それらはすべて、彼女が無理を重ねた結果で、彼女が命より信念を優先した結果だ。
 死を恐れない、それは勾陣の強さの源であり、紅蓮が見ていられないほどの危うさでもある。だから、守りたい、と思う。彼女のためではなく、彼女と別れたくないと考える、自分のために。優先順位こそ三番目に位置するが、願いの純粋さは、主やその孫に対するそれとなんら変わらない。叶う限りと、いつも、思う。
 しかし、いくら紅蓮に力があっても、遠く離れた出雲の地で今しがた何かが起こっていたとして、何も出来ない。そこに横たわる距離が最大の邪魔者となり、紅蓮の願いを阻む。
 あの時届いた手が次に届くとは限らないと分かっている。しかし今もしも何かがあった場合、手が届くかもしれない、その可能性自体が全否定されることとなる。――それが、怖い。知らぬ間に、何も出来ずに、看取ることも出来ないまま、勾陣がいなくなったら――?

 物の怪は水鏡を出雲に繋げた。操作の仕方は玄武から聞いてある。せめて話が出来ればこの不安も幾分か鎮んでくれるだろう。そして、心配し過ぎだと、こちらがどれだけ案じているのかを理解していない声音で笑い飛ばしてくれれば。
 それでも、やはり、と思う。
 傍にいて、欲しい。
 そうすればこの不安はいとも呆気なく消えてしまって、代わりに絶対的な安心感が居座るのだから。

 繋げた水鏡に彼女が映る。彼女は、そろそろいい加減頻度が高い、と若干呆れたように笑う。
 確信していたように、それだけで少し、胸の凝りが和らいだ。


―――――――――――――――
というか水鏡ってどうやって繋ぐんだろう(そこか
姐さんは傷いっぱいあって欲しい的な。そっちのが萌えるし(←





■鎖に繋がれて、(斎・玉依編後)

 朝目を覚ます度に、どうしようもなく不安になることがある。
 ――今日も、我が君の声はわらわに聞こえるのだろうか、と。
 昨日まで出来なかったことが今日も出来ないという結論への根拠にはなりえないことを、斎は知っている。この身を持ってそれを経験した。だからこそ、その逆――昨日まで出来ていたことが今日も出来るという証拠はどこにもないのだと、そのこともよく、分かっている。
 自分は過去と言う鎖に囚われている。経験は恐怖を生み、自分を苛むそれから逃げ出そうともがけばもがくほど、じゃらじゃらと音を立てて鎖はさらに絡みつく。逃すかと、言いたげに。
 神の声を聞くことが出来なければ、この身は玉依姫たり得ない。再び役立たずとなったその日は、自分は、どうなるのだろうか。益荒と阿曇以外に味方のいない四面楚歌の日々に逆戻りなのだろうか。その時、あの日々のことを『辛かった』と明確に自覚してしまっている自分は、耐えられるのだろうか。
 ――否。泣きたくなるほど簡単に、その答えははじき出された。
 自分に向っているものが好意でなくとも構わない。上辺の庇護と義務で構わない。直に心を刺す、敵意と殺意でない限り。
 それだけで斎は平穏を手にすることが出来るから。

 だから、声が聞こえた時、斎はどうしようもなく安堵する。
 よかった、聞こえる。この身はまだ玉依姫として在れている。
 斎を救うことが出来るのは、ただ、その事実のみ。


―――――――――――――――
考えてみたら斎ちゃんはどう転んでもハッピーエンドにはなれなかったんだろうなぁとかいう話。


 
■リセットボタンを探す(紅←勾・五十余年前)

 騰蛇が気を失い地に倒れたのを認めて、勾陣もまた荒い息を吐き出しながらがくりと膝をついた。全身が鉛のように重く、幾つもの傷口からは未だに鮮血がとろとろと流れ出ていて、それが体温を奪って酷く寒い。気を抜けば意識がどこかへ持って行かれそうになり、もうすぐ失神してしまうだろうことが分かった。
 震える手を伸ばして騰蛇に触れる。ぼやける視界で騰蛇の手甲に覆われた手を見て、勾陣は痛ましげに顔を歪めた。
 真実、血に濡れてしまった、手だ。人間を殺し、また主と同胞を殺めかけた、咎人の手。
 勾陣は少しだけ、いびつに笑った。なぁ騰蛇。唇だけが動いて声は出なかった。
 どこに、あると思う?
 上手く動かない手で緩慢に騰蛇の体を撫ぜた。意識が遠のく。もう自力で浮上させることは出来ずに、勾陣の瞼が自然に閉じられた。
 重力に任せて倒れた痩躯は、まるで騰蛇を庇うように彼の上に覆いかぶさった。

 このまま目を冷ませば、お前はまた責め苦を負うだろう。やっと他者の温もりを知った心がまた凍てついてしまうだろう。……お前の心が、壊れてしまう、だろう?
 だから、その前に。騰蛇が目を覚ます前に、全てをもう一度、始まりの前に戻さなければ。そうしたら今度はきっと上手くやるから。岦斎も死なず、晴明も無事で、お前は何の罪も背負わなくていいようにするから。
 だから、なぁ。どこにあると思う?
 そうするための手段は、道具は、どこに、あると思う?


―――――――――――――――
このまま逆行で更に救いなしエンドにレッツゴー路線でもいいんだけど(よかねぇよ馬鹿






どうでもいいけど「とろとろと」っていう表現好きです。
上にも書いてあるように「血がとろとろと溢れて」的なのともう一つ、眠りに落ちる間際みたいな、「とろとろとまどろみながら」って感じのが。

51432の順で書きました。2が一番すらすら書けた。やっぱりいくらかノれたほうがいいんだと思います。

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新巻読み終わったら書きたくなった話。少年陰陽師、益斎。
原材料に新巻ネタバレを多大に含みますので未読の方はご注意ください。

つーか最近岦斎さんと斎ちゃんがダークホースです。何か順位をどんどん上げてきてます。章子さん抜かれそう。




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ただ、甘くて幸せな。




久しぶりに紅勾で甘。

…ところで私、少なくとも日記小話以上の長さの甘い紅勾って最後に書いたのいつでしたっけ(ぇ

たいがいのカプ・キャラには数週間から数か月くらいである程度冷める・もしくは落ち着くなんですが、少陰カプ・特にこいつらはいつだって最高潮です。下火になろうがずーっと萌えとしてあって、気づいたら燃(萌)え上ってる。

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すみませんポップン二次創作に手ぇ出しました。サトはな+ししゃもで。

AC16のサトウさんの負けアニメから妄想繰り広げてました。
あれはなかなか凄いとこにいるぜししゃも。

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少年陰陽師・斎。のはずなんだけど、若干益斎っぽい…?



斎ちゃんは益荒・阿曇双方からの愛情をマジで重いものと受け取ってればいいなぁとか訳の分からん方向に萌えてたりしてます(ぇ
有りがたいのに、とか思いながら。

ぶっちゃけ、斎ちゃんにとって何が一番救いがないって、益荒と阿雲が斎ちゃんをめいっぱい愛してることが一番救いないよなぁとか思ってます。
あれ? すみません石投げないでください。
プラトニック地味に救いなしとかいいじゃん別に。萌えじゃん(黙って


7/100消化

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章→昌彰が好きです。
昌章はいっさい興味ありませんが。

叶わないことが前提で、ふたりが幸せであることを心から望む、本当にささやかな恋、みたいなの。常に好きです。どのジャンルでも。
原作であんなにも見事に昌浩が章子を切りすててくれなかったら、たぶんこんなに昌←章は好きになってなかったと思います。






6/100

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少年陰陽師、昌彰……?
迷いの~の、P180らへん。

純粋に昌彰が好きな方からそのうちぶん殴られるような気がしてます(ぁ

……うん。私とて昌彰好きですよ。好きなんですが、シリアス大好きですからなんというか、完全に好きになれたのが、昌彰スキー様方が痛いとか辛いとかさんざんおっしゃってる玉依編以降なんですよね。うん、この時点で全力でごめんなさいですが。なんだろ、ほのぼのしてるだけのカプは眼中外というか、なかなか萌えの対象になりにくいので。
痛くて辛くて傷ついて傷跡が残って、その先に待ってる「好きだよ」が好きです。
だから玉依編大歓迎です。むしろもっと痛くてもいいのに、痛さがぬるいなーとかも思ってしまってたり。いやでも私を基準にしちゃダメ(許容ゾーン広い・地雷なし・シリアス好物・バッドエンド平気etc.)だからこれくらいにしとこう。うん。




5/100消化、と。

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現代版なら、斎たちと安倍家の面子は仲良しさんだといいと思ってる。
むしろ現代版でくらいみんなみんな仲良しでいいよ!



というわけで(どういうわけだ)、no-title第二段。ギャグになり損ねた軽いノリのほのぼの、でしょうか。シリアス畑の碧波さんにギャグなんて不可能です。
益荒さんは過保護でいらんことしぃ(ぇ

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少年陰陽師、紅勾。
勾陣死ネタです注意。



消えるタイミングについて以前考察したやつの、(Ⅱ)のパターンだったらどうなんだろうって思って書いた話です。
前後のシチュエーションは何一つ考えてません。というか日記小話のいいところはそういう話が書けることだと思ってる←






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加月さんから頂いたネタそのに。益斎バージョン。ちょっと元ネタから離れてしまった気もします。ごめんなさい。
青后といい朱天といい、私加月さんにものすごく感化されてるなぁと思いました。……なんか、ごめんなさい、加月さん。

でも、この二人の関係もう少し自分の中で深めたくて迷い~を読み返そうと思ったら、現在小学校一年生の時からの腐れ縁の友人の家に絶賛出張中で軽く絶望した。タイミング悪ぃ。


現パラなんだか普通のパラレルなんだか謎ですが突っ込まないでください。益荒が斎ちゃんに敬語なのはあれだよ、分家とか本家とかあるんだよ多分(ぉ
でも青后処女作なんてマジで凄いパラレルだったからもう気にしないことにする←

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碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

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