Be praying. Be praying. Be praying.
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
加月さんから頂いたネタそのに。益斎バージョン。ちょっと元ネタから離れてしまった気もします。ごめんなさい。
青后といい朱天といい、私加月さんにものすごく感化されてるなぁと思いました。……なんか、ごめんなさい、加月さん。
でも、この二人の関係もう少し自分の中で深めたくて迷い~を読み返そうと思ったら、現在小学校一年生の時からの腐れ縁の友人の家に絶賛出張中で軽く絶望した。タイミング悪ぃ。
現パラなんだか普通のパラレルなんだか謎ですが突っ込まないでください。益荒が斎ちゃんに敬語なのはあれだよ、分家とか本家とかあるんだよ多分(ぉ
でも青后処女作なんてマジで凄いパラレルだったからもう気にしないことにする←
青后といい朱天といい、私加月さんにものすごく感化されてるなぁと思いました。……なんか、ごめんなさい、加月さん。
でも、この二人の関係もう少し自分の中で深めたくて迷い~を読み返そうと思ったら、現在小学校一年生の時からの腐れ縁の友人の家に絶賛出張中で軽く絶望した。タイミング悪ぃ。
現パラなんだか普通のパラレルなんだか謎ですが突っ込まないでください。益荒が斎ちゃんに敬語なのはあれだよ、分家とか本家とかあるんだよ多分(ぉ
でも青后処女作なんてマジで凄いパラレルだったからもう気にしないことにする←
益荒は目の前でにゃあと鳴く生き物を見た。茶色と白のぶち模様の毛並みは陽光を吸い込んで手触りがよさそうだった。何を考えているのか読めない(いや、読めるとも思っていないけれども)体で毛づくろいをしている。
少し待っていろ、と声に出して言うでもなくこっそりと告げて益荒は台所へ向かった。冷蔵庫を開けて中身を確認する。ヨーグルトや牛乳や、ひとしきり中身を把握し終えてから魚肉ソーセージをチョイスして猫のいるところへ再び向かう。
どこの猫なのか知らない。人間によくなついているようであるからどこかの飼い猫がテリトリーを広げに来たのかもしれないし、こうやって餌をもらうことに慣れた野良なのかもしれない。気がついたら庭で鳴いていた。鳴き声につられてその猫を発見したのは、たった数分前のこと。
別に、益荒は特別動物が好きと言うわけではない。懐かれるタチでもないし、ひょいひょい拾う訳でもない。だけれど何故だか、猫だけは別なのである。益荒自身も、自分のことながらよく分かっていないのだけれど。
戻ってきた益荒は、簀子で、先ほどの自分と同じように猫と向き合っている少女を認めた。
「斎様?」
声をかけると、斎はゆるやかな動作で振り返った。しかしちらちらと横目で猫を気にしている。
斎は益荒の右手付近を指差した。
「益荒。それは何だ?」
「いえ、餌をやろうと思いまして」
斎の隣に膝をついて、益荒はこれから餌がもらえることが分かっているように嬉しそうににゃあと鳴くふわふわの毛玉を見る。ソーセージを放送している袋を取ろうと切れ込みを入れたところで斎がまた「益荒」と呼びかけた。
「何でしょう」
「……わらわが、やってもいいだろうか」
益荒は、失礼ながらも少しだけ目を瞬かせてしまった。
こちらを伺うように上目づかいでじっと見られて誰が否と言えるだろう。はい、どうぞ、と、ソーセージを手渡す。若干不器用な手つきでビニールの包装紙を剥いた斎は猫の前にそれをぽいと置いた。直接食べさせるにはやはり少し怖いらしい。もしそうしようとしても、引っかかれたり噛まれたりしてはたまらないので益荒が先手を打って阻止しただろうが。
地面に置かれたソーセージに猫はかぶりつく。腹が減っていたのだろうか。
ふと意識を猫から斎へ移せば、斎は、本能丸出しで腹を満たしている猫を頬を緩めて見ていた。普段、おおよそこの年頃の子どもらしくなく、感情を素直に表には出さない、むしろ感情が乏しいのではないかと疑われても仕方がないくらいに言動が年不相応のこの少女にとっては、この表情はそうとう嬉しがっている、もしくは猫を可愛いと思っている顔である。
「益荒」
三度目。同じように「はい、何でしょう」と益荒は応える。
「撫でてみても、大丈夫だろうか?」
「…人によく懐いているようです。斎様が危害をお加えにならない限り攻撃はしてこないでしょう」
して来ても当たる前に自分が守る。
益荒の言を信用したらしき斎は、おっかなびっくりといった様子で腕を猫に伸ばした。猫はまだソーセージを食べている。斎の手がその頭に一瞬だけ触れて、慄いたようにまた離れた。そして再び猫の頭に小さな手が乗り、茶色と白の、陽光を吸ってふわりと暖かそうな毛並みにうずもれる。猫はにゃあと一度鳴いただけで、それ以外の反応を返してはこなかった。
二度、三度、小さな手が猫の頭を撫でる。
斎の表情筋がさらにもうすこし緩んだことに益荒は気付いていた。
「…ふわふわで、気持ちがいい」
撫でる手を放し、斎は益荒を見上げた。瞳の奥に見え隠れする嬉しさが、益荒にも伝染して彼の頬も緩む。
「飼い猫なら、何と言う名なのだろう」と小首を傾げて答えのない問いかけをしてくる姿が、無邪気で、可愛らしくて、愛おしくて、益荒は返答の代わりに少女の頭をくしゃりと撫でた。
「……何だ、益荒」
少し不機嫌そうになった声は、しかし不機嫌なわけではなく益荒の行動が不可解で、戸惑いがそう言う形で表に出ただけなのだと言うことを彼は知っている。
「何でもありません。失礼しました」
穏やかに言って、手を放す。斎はぷいと顔をそむけて猫を見た。
にゃあ、と何も知らない猫が呑気に鳴いた。
あ、結構楽しいかもしれない。
少し待っていろ、と声に出して言うでもなくこっそりと告げて益荒は台所へ向かった。冷蔵庫を開けて中身を確認する。ヨーグルトや牛乳や、ひとしきり中身を把握し終えてから魚肉ソーセージをチョイスして猫のいるところへ再び向かう。
どこの猫なのか知らない。人間によくなついているようであるからどこかの飼い猫がテリトリーを広げに来たのかもしれないし、こうやって餌をもらうことに慣れた野良なのかもしれない。気がついたら庭で鳴いていた。鳴き声につられてその猫を発見したのは、たった数分前のこと。
別に、益荒は特別動物が好きと言うわけではない。懐かれるタチでもないし、ひょいひょい拾う訳でもない。だけれど何故だか、猫だけは別なのである。益荒自身も、自分のことながらよく分かっていないのだけれど。
戻ってきた益荒は、簀子で、先ほどの自分と同じように猫と向き合っている少女を認めた。
「斎様?」
声をかけると、斎はゆるやかな動作で振り返った。しかしちらちらと横目で猫を気にしている。
斎は益荒の右手付近を指差した。
「益荒。それは何だ?」
「いえ、餌をやろうと思いまして」
斎の隣に膝をついて、益荒はこれから餌がもらえることが分かっているように嬉しそうににゃあと鳴くふわふわの毛玉を見る。ソーセージを放送している袋を取ろうと切れ込みを入れたところで斎がまた「益荒」と呼びかけた。
「何でしょう」
「……わらわが、やってもいいだろうか」
益荒は、失礼ながらも少しだけ目を瞬かせてしまった。
こちらを伺うように上目づかいでじっと見られて誰が否と言えるだろう。はい、どうぞ、と、ソーセージを手渡す。若干不器用な手つきでビニールの包装紙を剥いた斎は猫の前にそれをぽいと置いた。直接食べさせるにはやはり少し怖いらしい。もしそうしようとしても、引っかかれたり噛まれたりしてはたまらないので益荒が先手を打って阻止しただろうが。
地面に置かれたソーセージに猫はかぶりつく。腹が減っていたのだろうか。
ふと意識を猫から斎へ移せば、斎は、本能丸出しで腹を満たしている猫を頬を緩めて見ていた。普段、おおよそこの年頃の子どもらしくなく、感情を素直に表には出さない、むしろ感情が乏しいのではないかと疑われても仕方がないくらいに言動が年不相応のこの少女にとっては、この表情はそうとう嬉しがっている、もしくは猫を可愛いと思っている顔である。
「益荒」
三度目。同じように「はい、何でしょう」と益荒は応える。
「撫でてみても、大丈夫だろうか?」
「…人によく懐いているようです。斎様が危害をお加えにならない限り攻撃はしてこないでしょう」
して来ても当たる前に自分が守る。
益荒の言を信用したらしき斎は、おっかなびっくりといった様子で腕を猫に伸ばした。猫はまだソーセージを食べている。斎の手がその頭に一瞬だけ触れて、慄いたようにまた離れた。そして再び猫の頭に小さな手が乗り、茶色と白の、陽光を吸ってふわりと暖かそうな毛並みにうずもれる。猫はにゃあと一度鳴いただけで、それ以外の反応を返してはこなかった。
二度、三度、小さな手が猫の頭を撫でる。
斎の表情筋がさらにもうすこし緩んだことに益荒は気付いていた。
「…ふわふわで、気持ちがいい」
撫でる手を放し、斎は益荒を見上げた。瞳の奥に見え隠れする嬉しさが、益荒にも伝染して彼の頬も緩む。
「飼い猫なら、何と言う名なのだろう」と小首を傾げて答えのない問いかけをしてくる姿が、無邪気で、可愛らしくて、愛おしくて、益荒は返答の代わりに少女の頭をくしゃりと撫でた。
「……何だ、益荒」
少し不機嫌そうになった声は、しかし不機嫌なわけではなく益荒の行動が不可解で、戸惑いがそう言う形で表に出ただけなのだと言うことを彼は知っている。
「何でもありません。失礼しました」
穏やかに言って、手を放す。斎はぷいと顔をそむけて猫を見た。
にゃあ、と何も知らない猫が呑気に鳴いた。
あ、結構楽しいかもしれない。
PR
この記事にコメントする