Be praying. Be praying. Be praying.
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少年陰陽師・斎。のはずなんだけど、若干益斎っぽい…?
斎ちゃんは益荒・阿曇双方からの愛情をマジで重いものと受け取ってればいいなぁとか訳の分からん方向に萌えてたりしてます(ぇ
有りがたいのに、とか思いながら。
ぶっちゃけ、斎ちゃんにとって何が一番救いがないって、益荒と阿雲が斎ちゃんをめいっぱい愛してることが一番救いないよなぁとか思ってます。
あれ? すみません石投げないでください。
プラトニック地味に救いなしとかいいじゃん別に。萌えじゃん(黙って
7/100消化
斎ちゃんは益荒・阿曇双方からの愛情をマジで重いものと受け取ってればいいなぁとか訳の分からん方向に萌えてたりしてます(ぇ
有りがたいのに、とか思いながら。
ぶっちゃけ、斎ちゃんにとって何が一番救いがないって、益荒と阿雲が斎ちゃんをめいっぱい愛してることが一番救いないよなぁとか思ってます。
あれ? すみません石投げないでください。
プラトニック地味に救いなしとかいいじゃん別に。萌えじゃん(黙って
7/100消化
要らない子だと、誰かが言った。
最初にそう言ったのは誰だったか。他人だったか、それとも親だったかも知れない。はっきりと覚えてはいなかった。気がついたら、要らない子、が斎の代名詞と化していた。もしかしたら、親はちゃんと自分を好きでいてくれたかもしれない――なんて、都合のいい想像はいくらでも出来る。好いていてくれていたかもしれない。嫌いだったかもしれない。所詮、いない者へ馳せる思いなど『かもしれない』の域から出ることはないのだから。
要らない子。忌子。いなければいいのに。何故生きている。生まれない方が良かった。――誰も彼もがそういいながら、そのくせ、斎に生きることを強要する。要らなければ捨てればいいのに、仕方がないからと手元に置いている。だったらせめて斎を嫌うそぶりは隠せばいいのに、それはあからさまに幼い斎に突き刺さる。今でも充分幼いと言われる年の斎だが、さらに幼いころから、敵意や悪意というものは斎にとって当たり前のものだった。
おかげで色々なことを知り損ねたし、変に冷めた、と斎は思っている。まず笑うことがどういうことなのか彼女には理解がいかないし、向けられる敵意や悪意に逐一反応することも無駄だと思うようになった。そしてそんな自分に向けて『冷めている』と客観的判断を下せる程度には冷めている。
要らない子。忌子。――――それは勝手にそっちがそう定めただけだろう。
なぜ生きている。――――そっちが勝手に生かしているだけだろう。
生まれない方が良かった。――――知らない、生まれたのは自分の意志ではなかった。
「斎様」
「益荒?」
青年に呼ばれ、斎は青年を見上げた。ずっと高い場所にある彼の表情を読むことにも大分慣れた。おおよそ、自分を心配していることも知っている。
何か用があったのかもしれないが、斎の視線を受けて、益荒はかがみこんで斎と視線を合わせた。斎が物言いたげだったせいかもしれないが、思っていたことを言うつもりなかった。
誰も彼も、斎に生きることを強要する。――その最たる人物は、きっと益荒と阿雲のふたりだろう。他の者たちと違うのは、強要する根拠か。妥協ではなく、本心から、彼らは斎に生を強要する。恥ずかしい言い方をすれば、斎を愛しているから、ただ斎の生そのものを願っている。それが、重い。矛盾を一切含まないその願いが、その分だけ斎に重くのしかかる。
生きろというのか、お前たちは。お前たち以外にわらわを必要としないこの冷たい世界で、お前たち以外の誰もが本心ではわらわの死を願うこの欺瞞に満ちた世界で。時たまお前たちがくれるささやかな嬉しさ以外は何も、幸せも満足も知らないわらわに。
無言のまま益荒を見据えていた斎に、益荒が「斎様、どうかなさいましたか」と語りかける。
斎は首を横に振って、まるで幼子のように、斎に目線を合わせている彼の腕にしがみついた。益荒は慄いたように斎を見た。普段の己なら絶対にしないような行為に驚いていることはすぐに知れた。
いいだろう、たまには感傷的になったって。お前のくれる愛情が重たいなんて絶対に言わないから、それに便乗するくらい、益荒、お前なら許してくれるのだろう。
益荒、と斎は呟いた。はい、何でしょう、と益荒が応える。斎はまた、益荒、と言った。益荒は今度は何も言わなかった。斎が返事を必要としていないことを理解したようだった。
斎に冷たい世界の中で、この腕の温かさを、斎は知ってしまっていた。
誰もが斎に生きろと言う。二名を除いて、その裏で斎を蔑みながら。そして益荒と阿雲は、重たいほどの愛情でもって。そしてその二人の存在をありがたく思っている自分がいる。――救いがたいことに。
救いは要らない。愛情も要らない。自分は忌子で、この命が罪。それは嫌というほど知っている、なのに。
どうしてわざわざ、あの二人がくれる優しさを恋しく思う自分がいるのだろうか。
本当に、救われない。それでも構わないのだけれど。
そう、斎は息を吐いた。
最初にそう言ったのは誰だったか。他人だったか、それとも親だったかも知れない。はっきりと覚えてはいなかった。気がついたら、要らない子、が斎の代名詞と化していた。もしかしたら、親はちゃんと自分を好きでいてくれたかもしれない――なんて、都合のいい想像はいくらでも出来る。好いていてくれていたかもしれない。嫌いだったかもしれない。所詮、いない者へ馳せる思いなど『かもしれない』の域から出ることはないのだから。
要らない子。忌子。いなければいいのに。何故生きている。生まれない方が良かった。――誰も彼もがそういいながら、そのくせ、斎に生きることを強要する。要らなければ捨てればいいのに、仕方がないからと手元に置いている。だったらせめて斎を嫌うそぶりは隠せばいいのに、それはあからさまに幼い斎に突き刺さる。今でも充分幼いと言われる年の斎だが、さらに幼いころから、敵意や悪意というものは斎にとって当たり前のものだった。
おかげで色々なことを知り損ねたし、変に冷めた、と斎は思っている。まず笑うことがどういうことなのか彼女には理解がいかないし、向けられる敵意や悪意に逐一反応することも無駄だと思うようになった。そしてそんな自分に向けて『冷めている』と客観的判断を下せる程度には冷めている。
要らない子。忌子。――――それは勝手にそっちがそう定めただけだろう。
なぜ生きている。――――そっちが勝手に生かしているだけだろう。
生まれない方が良かった。――――知らない、生まれたのは自分の意志ではなかった。
「斎様」
「益荒?」
青年に呼ばれ、斎は青年を見上げた。ずっと高い場所にある彼の表情を読むことにも大分慣れた。おおよそ、自分を心配していることも知っている。
何か用があったのかもしれないが、斎の視線を受けて、益荒はかがみこんで斎と視線を合わせた。斎が物言いたげだったせいかもしれないが、思っていたことを言うつもりなかった。
誰も彼も、斎に生きることを強要する。――その最たる人物は、きっと益荒と阿雲のふたりだろう。他の者たちと違うのは、強要する根拠か。妥協ではなく、本心から、彼らは斎に生を強要する。恥ずかしい言い方をすれば、斎を愛しているから、ただ斎の生そのものを願っている。それが、重い。矛盾を一切含まないその願いが、その分だけ斎に重くのしかかる。
生きろというのか、お前たちは。お前たち以外にわらわを必要としないこの冷たい世界で、お前たち以外の誰もが本心ではわらわの死を願うこの欺瞞に満ちた世界で。時たまお前たちがくれるささやかな嬉しさ以外は何も、幸せも満足も知らないわらわに。
無言のまま益荒を見据えていた斎に、益荒が「斎様、どうかなさいましたか」と語りかける。
斎は首を横に振って、まるで幼子のように、斎に目線を合わせている彼の腕にしがみついた。益荒は慄いたように斎を見た。普段の己なら絶対にしないような行為に驚いていることはすぐに知れた。
いいだろう、たまには感傷的になったって。お前のくれる愛情が重たいなんて絶対に言わないから、それに便乗するくらい、益荒、お前なら許してくれるのだろう。
益荒、と斎は呟いた。はい、何でしょう、と益荒が応える。斎はまた、益荒、と言った。益荒は今度は何も言わなかった。斎が返事を必要としていないことを理解したようだった。
斎に冷たい世界の中で、この腕の温かさを、斎は知ってしまっていた。
誰もが斎に生きろと言う。二名を除いて、その裏で斎を蔑みながら。そして益荒と阿雲は、重たいほどの愛情でもって。そしてその二人の存在をありがたく思っている自分がいる。――救いがたいことに。
救いは要らない。愛情も要らない。自分は忌子で、この命が罪。それは嫌というほど知っている、なのに。
どうしてわざわざ、あの二人がくれる優しさを恋しく思う自分がいるのだろうか。
本当に、救われない。それでも構わないのだけれど。
そう、斎は息を吐いた。
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