Be praying. Be praying. Be praying.
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ただ、甘くて幸せな。
久しぶりに紅勾で甘。
…ところで私、少なくとも日記小話以上の長さの甘い紅勾って最後に書いたのいつでしたっけ(ぇ
たいがいのカプ・キャラには数週間から数か月くらいである程度冷める・もしくは落ち着くなんですが、少陰カプ・特にこいつらはいつだって最高潮です。下火になろうがずーっと萌えとしてあって、気づいたら燃(萌)え上ってる。
久しぶりに紅勾で甘。
…ところで私、少なくとも日記小話以上の長さの甘い紅勾って最後に書いたのいつでしたっけ(ぇ
たいがいのカプ・キャラには数週間から数か月くらいである程度冷める・もしくは落ち着くなんですが、少陰カプ・特にこいつらはいつだって最高潮です。下火になろうがずーっと萌えとしてあって、気づいたら燃(萌)え上ってる。
口付けは、少しだけ、苦手だ。
控えめながらも響き続ける水音を覆い隠すように、嫌に甘ったるい声が断続的に耳に届く。誰のものだ、と言われれば、答えはひとつしかない。目の前の男が引きずり出している自分の声だ。口内に侵入している生温かいものは、己のそれを絡み取り、弄び、それだけでは飽き足らず、口内全般を蹂躙していく。息苦しさに負けて空気を吸い込めば、同時に抑えきれない声が零れた。それは彼女の羞恥を煽り彼女を混乱させ、熱に呑まれた思考は最早使い物にならない状態だった。いい様に翻弄され、主導権を奪い取ることも叶わないまま、ただ小刻みに震える体を叱咤しながら紅蓮の肩に置いた手に力をこめて彼にすがりつくしか出来ない。
嫌に長かった。どれだけ経ったかなど彼女に知る術はないが、確かに普段よりもずっとずっと長かった。柔らかく溶けそうな感覚に、やばい、と思う。早く終われ――
ようやっと唇が離れた時、勾陣は我知らず安堵で息を吐いていた。高ぶっていた熱はゆっくりと引いていく。鼓動が煩い。
平静に戻ろうと呼吸を整えながら、勾陣は唾液でべとついた口周りを親指の先で拭い、「長い」と言った。
言われた紅蓮は、一瞬、しまった、と言いたげな顔をした。不満げな声音に、好き勝手むさぼっていた自覚があるのかないのかは知らないが、不安にはなったようだ。
「嫌、か?」
恐る恐ると言った体でそのようなことを尋ねられ、今度は勾陣がしまったと思う番だった。誤解を招いてしまったらしい。「違う違う」と勾陣は首を横に振る。それだけで紅蓮の表情に安堵が灯るのだから、まったく素直なことこの上ない。
「そうじゃない。嫌じゃないよ。ただ、少し苦手なだけだ」
「苦手?」
鸚鵡返しに訊き返されて、勾陣はまた、しまった、と思った。今度は口を滑らせた。先ほどからくすぶる熱の残滓のせいか、まだ平静には成りきれていないらしい。
紅蓮は解せないと言いたげな目で、理由を求めて勾陣を見つめている。「……答えるべきか?」と答えなど分かり切った上で訊ねてみれば、「出来れば」と予想通りのことを言われた。
黙ったままでいれば、彼は勝手に何かしらの理由を見つけて自分を納得させるだろう。それは十中八九、誤解に繋がる。それくらいは分かる。非常に、非常に不本意なことだが――そのせいでこのように触れてきてくれなくなるとしたら――それは、寂しい。そんなことを言うつもりは毛頭ないが(そして、言えるような性格でもない)。
しかし何より、訴えかけてくるようなその目にほだされた、と言うのか。このあたり、自分はまったく彼に弱い――これももちろん言うつもりなどないし、彼は自分に甘いからおあいことも言えるが――そんなことを思いながら、勾陣は紅蓮から目を背け、前髪を掻き揚げて小さく言った。
「声が」
一度口火を切れば後は自棄に近かった。どうせ恥ずかしいのは一瞬だし、こちらの理由はまだ告げることが出来るぎりぎりの境界線だ。
「声が漏れるだろう。あれが、どうも慣れん」
一息で言い切る。流石に紅蓮の方を向けはしなかったが、彼が笑っているのが気配で伝わってくる。大方、何だそんなことか、とでも思っているのだろう。彼は自分のあの声をどうも気に入っているらしいのだ。体を重ねた時など、嫌に迫力のある、有無を言わせない声でもっと鳴けだの言ってくる。
「何だ、そんなことか」
思っていた通りのことを言われた。言わせておいて何を、と勾陣は紅蓮を軽く睨みつける。が、本気ではないことを分かっている彼にさして効果があるはずもなく、むしろ微笑ましい目で見られた気がしたので早々に抗議は諦めた。
「なら」と軽く腕が引かれ、再び距離が縮まる。相手の呼吸が届く距離だ。
「慣れるまでやるか?」
「ふざけるな調子に乗るな戯け者。殴られたいか?」
「…それは遠慮願いたいな。すまん許せ」
今度は本気混じりだった分効いたようだ。あっさりと掴まれていた腕が放れる。「物分かりがいいじゃないか」と不遜な態度で言ってやれば、先ほどまでの妙に積極的だった彼はどこへやら、「はいはい」といつもと同じように諦観混じりに微笑んだ。
勾陣は小さく息を吐いた。よかった誤魔化せた、と安堵したからだ。巧い嘘とは、真実を織り込んだ嘘のことだ。その点、あの理由は『本当の理由』ではないにせよ彼女の本心だったので、文句なしの及第点と言えるだろう。
そう――本当の理由など言えるはずもない。
たかが口付けごときがあんなに気持ちがいいのが困るだなんて、そんなこと、面と向って言えるはずもなかった。
控えめながらも響き続ける水音を覆い隠すように、嫌に甘ったるい声が断続的に耳に届く。誰のものだ、と言われれば、答えはひとつしかない。目の前の男が引きずり出している自分の声だ。口内に侵入している生温かいものは、己のそれを絡み取り、弄び、それだけでは飽き足らず、口内全般を蹂躙していく。息苦しさに負けて空気を吸い込めば、同時に抑えきれない声が零れた。それは彼女の羞恥を煽り彼女を混乱させ、熱に呑まれた思考は最早使い物にならない状態だった。いい様に翻弄され、主導権を奪い取ることも叶わないまま、ただ小刻みに震える体を叱咤しながら紅蓮の肩に置いた手に力をこめて彼にすがりつくしか出来ない。
嫌に長かった。どれだけ経ったかなど彼女に知る術はないが、確かに普段よりもずっとずっと長かった。柔らかく溶けそうな感覚に、やばい、と思う。早く終われ――
ようやっと唇が離れた時、勾陣は我知らず安堵で息を吐いていた。高ぶっていた熱はゆっくりと引いていく。鼓動が煩い。
平静に戻ろうと呼吸を整えながら、勾陣は唾液でべとついた口周りを親指の先で拭い、「長い」と言った。
言われた紅蓮は、一瞬、しまった、と言いたげな顔をした。不満げな声音に、好き勝手むさぼっていた自覚があるのかないのかは知らないが、不安にはなったようだ。
「嫌、か?」
恐る恐ると言った体でそのようなことを尋ねられ、今度は勾陣がしまったと思う番だった。誤解を招いてしまったらしい。「違う違う」と勾陣は首を横に振る。それだけで紅蓮の表情に安堵が灯るのだから、まったく素直なことこの上ない。
「そうじゃない。嫌じゃないよ。ただ、少し苦手なだけだ」
「苦手?」
鸚鵡返しに訊き返されて、勾陣はまた、しまった、と思った。今度は口を滑らせた。先ほどからくすぶる熱の残滓のせいか、まだ平静には成りきれていないらしい。
紅蓮は解せないと言いたげな目で、理由を求めて勾陣を見つめている。「……答えるべきか?」と答えなど分かり切った上で訊ねてみれば、「出来れば」と予想通りのことを言われた。
黙ったままでいれば、彼は勝手に何かしらの理由を見つけて自分を納得させるだろう。それは十中八九、誤解に繋がる。それくらいは分かる。非常に、非常に不本意なことだが――そのせいでこのように触れてきてくれなくなるとしたら――それは、寂しい。そんなことを言うつもりは毛頭ないが(そして、言えるような性格でもない)。
しかし何より、訴えかけてくるようなその目にほだされた、と言うのか。このあたり、自分はまったく彼に弱い――これももちろん言うつもりなどないし、彼は自分に甘いからおあいことも言えるが――そんなことを思いながら、勾陣は紅蓮から目を背け、前髪を掻き揚げて小さく言った。
「声が」
一度口火を切れば後は自棄に近かった。どうせ恥ずかしいのは一瞬だし、こちらの理由はまだ告げることが出来るぎりぎりの境界線だ。
「声が漏れるだろう。あれが、どうも慣れん」
一息で言い切る。流石に紅蓮の方を向けはしなかったが、彼が笑っているのが気配で伝わってくる。大方、何だそんなことか、とでも思っているのだろう。彼は自分のあの声をどうも気に入っているらしいのだ。体を重ねた時など、嫌に迫力のある、有無を言わせない声でもっと鳴けだの言ってくる。
「何だ、そんなことか」
思っていた通りのことを言われた。言わせておいて何を、と勾陣は紅蓮を軽く睨みつける。が、本気ではないことを分かっている彼にさして効果があるはずもなく、むしろ微笑ましい目で見られた気がしたので早々に抗議は諦めた。
「なら」と軽く腕が引かれ、再び距離が縮まる。相手の呼吸が届く距離だ。
「慣れるまでやるか?」
「ふざけるな調子に乗るな戯け者。殴られたいか?」
「…それは遠慮願いたいな。すまん許せ」
今度は本気混じりだった分効いたようだ。あっさりと掴まれていた腕が放れる。「物分かりがいいじゃないか」と不遜な態度で言ってやれば、先ほどまでの妙に積極的だった彼はどこへやら、「はいはい」といつもと同じように諦観混じりに微笑んだ。
勾陣は小さく息を吐いた。よかった誤魔化せた、と安堵したからだ。巧い嘘とは、真実を織り込んだ嘘のことだ。その点、あの理由は『本当の理由』ではないにせよ彼女の本心だったので、文句なしの及第点と言えるだろう。
そう――本当の理由など言えるはずもない。
たかが口付けごときがあんなに気持ちがいいのが困るだなんて、そんなこと、面と向って言えるはずもなかった。
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