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すみませんポップン二次創作に手ぇ出しました。サトはな+ししゃもで。

AC16のサトウさんの負けアニメから妄想繰り広げてました。
あれはなかなか凄いとこにいるぜししゃも。

 昼休み、やっとひと心地つける、と佐藤はオフィスの近くにある公園まで弁当を持って出てきていた。午前中の仕事で体も凝り固まってしまっているので肩や首を回しつつ、ぽかぽかとした日溜りの温さに「あったかー…」と呟く。
 ベンチに座り、膝の上に弁当箱を置き、包みを広げる。節約のための自分で作った弁当なのでわくわくもくそもないが、それでもすきっ腹には大体のものがごちそうになる。「いただきます」と手を合わせ、箸箱の中から箸を取り出して弁当箱の蓋をあけ――

「――――でええぇぇえぇええぇぇぇえええーーーーーーーーっっっっっ!!?」

 叫んだ。

「何でししゃもここにいるのーーーーーーーっっっ!!?」

 青色の弁当箱の中にあるのは、朝詰め込んだはずの中身ではなく――黄色い毛並みの、ししゃもと名付けた愛猫。弁当箱のサイズにぴったりとおさまっているが、ししゃもが入っていた分の中身は猫の腹の中らしい。満足そうに目を細めている姿に思わず和みかけるが――そうじゃない。

「僕のお弁当~~~っ!! ししゃも~~~~っ!!」

 流石に昼飯を(弁当箱の中に入り込んでいた)飼い猫に食われたぐらいで泣くようなヤワな性格はしていないものの、それでも泣きたくなる。わざわざ自転車を使って通勤するくらい節約してんのに! 買ったら結構お金かかるのに! とそれが残念で仕方がない。
 弁当箱の中は何気に居心地がいいのか、蓋が開いてもでてこようとはしないししゃもに佐藤は恨みがましく話しかける。
 真昼間の公園で絶叫した後に信じられないような場所に詰め込まれている(ように見える)猫に話しかけていると神経を疑われても仕方がないが、今の佐藤にそんな余裕はない。これは何のドッキリだ。どっかから誰かプレート持って「ドッキリでしたー!」と言ってきてほしい。

「そっか今日朝から見ないと思ったら! ハナちゃんのとこにでも行ってると思ってたのに……ってかいつ入ったのししゃも何で入ったの。どうやって蓋閉めたの。というかいつ中身食べたの」

 ししゃもはにゃーとだけ律儀に返してくるものの、答えなんて返ってくるはずもない。というか本当にどうやって入ってしかも蓋まで閉めて今まで佐藤に気付かせなかった。

「ししゃもー……、…罰として猫缶の総量少し減らすよ――…って駄目だ、そしたら僕の分がししゃもに食われて結局僕がひもじい思いするに決まってるか……はぁ」

 拾ってきたその日さえちょっと目を離した隙に佐藤の晩御飯を食いかけていて必死で止めたのはまだまだ記憶に新しい。
 にゃ、と呑気に鳴いたししゃもを取り敢えず弁当箱から引っ張り出して地面に下ろす。ため息をひとつ吐いてから弁当箱を包んで佐藤は立ち上がった。コンビニかどこかで弁当なりパンなりを食べなければあと六時間くらいは口に何も入れられないのだ。それはきつい。出費もきついが。
 佐藤はしゃがみこんで「いい、ししゃも」と毛づくろいをしている愛猫に話しかける。食材の油やら何やらが毛についてしまっているらしい。だから何でこんなところにともうこれは考えないことにする。考えるだけ無駄だ。

「ここか、僕の自転車のカゴか、バス停のゴミ箱か、はなちゃんのいる花屋さんにいるんだぞ。分かった?」

 にゃーとししゃもが鳴いたのでこれを肯定と受け取り、佐藤は食べてもいないのに空っぽの弁当箱を下げて最寄りのコンビニまで歩きだした。徒歩五分なら散歩がてらと思えば――と言っても時間制限もあるのでスピードは競歩レベルだ。
 遊び盛り手が掛かりまくりのししゃもだが、この命令だけはちゃんと聞くので大丈夫だと思う。首輪とネームプレートもつけているので間違って拾われることもないだろう。
 はぁ、とため息が再びこぼれ出たのはいたしかたないことだった。




――――――――――――――――――――




「――ってことがあって…」
「………凄いですねししゃもちゃん、…え、ホントどうやって入ったのー?」

 本日の昼休みに起こった佐藤的大事件をはなに話したら、彼女も目を丸くしてししゃもを信じられないものを見る目で見た。ししゃもは佐藤とはなの足元をうろうろと歩いている。
 佐藤の仕事中、基本的にししゃもはここにいるので、仕事が終わるとはなの努めている花屋に足を向けるのが佐藤の日課となっている。

「僕が拾った時もゴミ箱の中に居心地よさそうにいたし、僕の自転車のカゴ好きだし、ここでも空っぽの植木鉢の中に入ってるし、こう言うとこに入り込むの好きなのかなとは思ってたけど、まさか弁当箱は予想外だったと言うか」
「誰も予想しませんよー、絶対。私でも叫ぶと思うもん」

 そしてその際にはなと会話するのも日課だ。花なんて高級品を取り扱う店に客がぎっしりと詰まることなどほとんどない。

「でも佐藤さんってお弁当自分で作ってるんですねー、すごい」
「残り物とか詰め込むだけだし、朝新しく作るとしても玉子焼きとかだからそんなに手間もかからないしね。コンビニ弁当とか高いから無理」
「………失礼ですけど、そんなきつきつなんですか?」
「まぁししゃも拾ってから猫缶代とか新たにかかってるし、切り詰めれるとこ切り詰めなくちゃね」
「あ、すごい。私お弁当とか面倒くさくてあんま作りませんもん。パン買って終わりにしちゃうから」

 ししゃもちゃんも美味しかったんだろうなー、いいなー、と言いながらはなはししゃもを見た。ししゃもはもうししゃも専用となりつつある、軒先の空の植木鉢の中にいつの間にか移動して落ち着いている。

「そう言えば佐藤さん、玉子焼きって砂糖? 塩? それともだし?」
「だしとかめんどいのやらないよ。塩を適当に入れてるだけ。はなちゃんはどうなの?」
「わたしはお砂糖! 甘いの好きだもん」

 そうだろうな、と佐藤は勝手な感想を抱いた。

「佐藤さんのお弁当美味しそうなイメージありますからねー、ししゃもちゃんもだから食べたかったのかな? でも入り込むとは凄いね、ししゃもちゃん」

 ししゃもは植木鉢の中からはなに向かってにゃーと鳴いた。もうはなにも随分懐いている。
 しゃがんでししゃもの目線に近づこうとしているはなを見下ろしながら、もし僕が弁当もう一個作って渡したりしたらはなちゃん喜ぶんだろうか、と佐藤は思った。そんな余裕もないし、はなに渡すとなったら残り物ではいけないからそれなりに作り込むことになって時間も手間も金もかかることは目に見えている。

「……もしよかったら、はなちゃんにも作ってこようか?」

 ……なのにこんな提案をするあたり自分は何かに犯されている。絶対。
 はなは遥か頭上にある佐藤の顔を見上げてぱちりぱちりと瞬いた。「………いいんですか?」と控えめに訪ねてくるのは嫌がっていないサインと取ってもいいだろうか。

「まぁ、もう一個作るくらいは」

 と嘘もいいところで、だから手間をかけることになるのは自明の理である。
 はなはしばらく目線を泳がせあーだのえぇとだの呟いていたが、立ち上がってからぺこりとお辞儀をして「お願いします」と小さな声で言った。

「気にしなくていいよ、いつもししゃも見てくれてるお礼みたいなもんってことでさ」

 はなは「やった!」と小さくガッツポーズを取った。しかも満面の笑みのオプション付きで、あ、可愛い、と思った。そこまで喜ばれるとうわこれは頑張らなきゃなーと使命感も沸いてくる。
 ししゃもに向かって「今度は絶対食べちゃダメだよー」とくぎを刺しているはなを見ながら、甘い玉子焼きを入れたら喜ぶんだろうなと早くもメニューが一つ決定した。

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碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

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