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Be praying. Be praying. Be praying.
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ブラウザをLunsascapeからIronに変えました。慣れないところもあるけどさくさくしていい感じです。
そのことを友達に話したら変える前のブラウザも変えた後のブラウザも知らんと切って捨てられました。




紅勾。
あやうい表現はないけどシチュエーションとしてやってるというかやろうとしてるので一応続きから。

「お前、よく飽きないな」
 呆れでも感心でもない、妙に淡白な声でそんな言葉を勾陣が落とした瞬間、乳房を揉んでいた手と首筋を舐めていた舌の動きがぴたりと止まった。顔を上げてこちらに目を合わせてきた紅蓮の表情は(現状ではありもしない)地雷を警戒しながら勾陣を窺い、そして少し物言いたげだ。
 彼女は目を逸らすことなく言葉を続けた。
「千年間ずっと私だけを抱いているだろう。飽きないのか?」
「…………勾、それは、怒っていいのか」
 おや、と勾陣は目をしばたたかせた。想像していた反応と違う。呆けた顔を見せてくれると思っていたのだが、目の前を動かない男の顔は怒りの色こそないものの軽く半眼だ。地雷を踏みかけたのは自分の方であったらしい。もっともその可能性自体は想定していたが。しかし勾陣に焦りは一切ない。第一怒っていいのかという紅蓮の返答はどこかおかしい。怒ったのならわざわざ断らずに怒ればいいものを。そんなだからからかってみたくなるのだ。
「というか、お前、集中してないな?」
「しているさ。だが、少し何かを思いつくことだってあるだろう。まだ始めたばかりだし」
「それでわざわざ思いついたのがそれかよ…」
 紅蓮の表情が呆れに強く傾いた。紅蓮はだいたい勾陣に対して重要でないいろいろなこと、たとえば彼女の気まぐれさだとか悪質さだとか、を諦めている。それを勾陣は知っている。こっちだって紅蓮に対して重要でないいろいろなこと、たとえば煮え切らないところとか阿呆なところとかへたれなところとか、を諦めて好んでいるのだからお互い様である。
 紅蓮は瞬きを数度、繰り返して、先ほどまでの表情を一転させて一瞬眉を潜めると、やたらと純粋な目をして問いかけ返してきた。
「……お前は、飽きたのか?」
 その声と目が、覆い被さっているくせに低い位置から主人を窺う大型犬を想起させて、勾陣は反射のように否定を口にしていた。
「いや……そんな、ことは」
 柔らかくさざめく金色から逃れるように思わず目を逸らす。口火を開いたのは自分の方であるのに変な話だ。
「そうか」紅蓮がほっと息を吐く。「それならよかった」
 彼女の頬に手を添え、自分の方を向かせて顔を近づけてきた紅蓮だが、触れ合ったのは唇ではなく額だった。拍子抜けして肩から力が抜ける。力が入っていたことにいま気が付いた。
「俺も一緒だ。飽きるわけない」
 そう言って男は笑う。とても穏やかに、とても嬉しそうに。思わず心臓が跳ねて、それを抑えようと息が詰まった。唇をかすめて離れた紅蓮は、しかしじっと勾陣を見据えた。蜂蜜の色だな、と彼女は思った。焔の反射のように苛烈に、夏の日差しのように鋭く、宝石のように透明に、道端の花のように優しく、彼の瞳はその金色を様々に変えるが、それはまた時折蜂蜜のように柔らかく溶けて勾陣を優しく映すのだ。
「まあ、それに、女を抱きたいってわけでもないからなぁ」
「……どういう意味だ?」
「ん、まあ、その」
 紅蓮は少し言葉を探してどこかを見やったが、やがて頬をかすかに赤らめて、彼女に向き直って言った。言葉が音を得てからはわずかだって躊躇わず。
「……お前だから。女を抱きたいわけじゃない、お前を抱きたいんだ」
 呼吸を忘れた。
 紅蓮の言葉は嘘ではない。神と人の合いの子である自分たちには、しかし十二柱の均衡を保つために生殖能力は備わっていない。こうして求め合えること自体が不思議なくらいなのだ。だから、彼の言葉はきっと、きっと嘘でも理想でもない。
 ふいと、再び顔を背ける。紅蓮が触れている場所がいやに熱かった。心臓がうるさい。こんな展開は予想外だ。普段ろくに愛しているの一言も寄越さないくせにあんなことだけすらすら言うなんてずるい。きっといま自分は耳まで赤くしているのだろう。証拠のように紅蓮が笑声を愛おしげに噛み殺した。それは聞こえないふりをして、何かを誤魔化すために口を尖らせ憎まれ口を叩く。
「…驚いた。同性愛者だとカミングアウトでも始めるのかと」
「おいこら」間髪入れず突込みが飛んでくる。「だったらいまお前を抱いてる俺はどうなるんだ」
「どうなるんだろうな」
「やる気ないな、勾」
 紅蓮の声はずっと笑っている。髪を梳かれ、頬を撫でられ、心地よくて目を細めた。
「意地悪を言ってみたかっただけだよ」
 あとは単なる好奇心と。あんなに嬉しい言葉を引き出そうなんてこれっぽっちも考えてはいなかった。
「喧嘩売ってるのかとまず思ったがな。あるいはお前が飽きたか嫌か」
「そんなつもりはなかったよ。気に障ったなら悪かった」
「……いやに殊勝だな、どうした?」
「騰蛇。お前、私を何だと思っているんだ」
 いや別に、と紅蓮は目を背ける。その仕草に勾陣は安心した。いきなり最上級の口説き文句を投げてくるからどうしたかと思えばやはりいつもの紅蓮である。勾陣はひとつ、のどを鳴らすと、枕元に遊ばせていた両手を伸ばして紅蓮の頬にかけた。察した紅蓮は逆らわず、そのまま口付けをひとつ。舌をつつき合いながら、彼の首へ腕を絡めた。口付けを解いて男の耳を柔く食む。そのまま何か言おうとして、言葉が一瞬のどの奥に突っかかり、躊躇うように唇が震える。まるで勇気を振り絞るように息を吸うと、勾陣はそっと囁きかけた。
「今日は、何をしてもいい。怒らないでいてやる」
「勾?」
「……へたれが珍しく頑張ったから。ご褒美だ」
 へたれ言うな、と紅蓮が笑った。全部分かっているような声音に無性に腹が立って、撤回こそしなかったが、勾陣は「ただしこの言葉を後悔はさせるなよ」と不機嫌を装って釘を刺した。はいはい、と了承を示した紅蓮はそのまま彼女の腕を丁寧に解くとまた先ほどのように白い首を舐め始めた。

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碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

今萌えてるもの
・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

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