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取り敢えず弁論はどうにかしてきました。



しかしお化け屋敷の用意が終わんねぇ! 明日七時に集合して完成させるそうです。うわー。
男子が「電気消し取ったらばれんかな」と言っていました。何がー? と思ったら「ここにおることが」と続いた。そっち!?
ちなみにこの場に先生がいて、「先生がおるとこでそんなこと言っても無意味」と突っ込まれてました。





なんとなく文章書きたくなったので文化祭準備な昌浩で。
中学校の文化祭ってあんまり展示とかしなかったけど。私立はどうなんだろ?

 お化け屋敷。
 文化祭において最もメジャーな展示物と言っても過言ではないだろう。やりたい、と志願するクラスの多さに、お化け屋敷系統の展示は三つまで、というルールが存在するほどなのだ。毎年抽選が行われていると言う。
 そのくせ最も大変な展示であろうことも想像に難くない。教室を使用するため前日まで準備が出来ず、しかも光の遮断のためにクラス総動員でかき集めてきた段ボールを窓にべたべたと貼り付け暗幕を取り付ける、それから机を他の教室から借りてきたりして数を増やし通路を作り仕掛けを施す、加え当日も十数名の人間が不可欠である。
 する方も訪れる方も楽しんでいるから問題はないのだろうが、お化け屋敷ってやっぱりちょっと問題だよなぁ、と、いつかの百物語の時も思ったようなことを、現在陰陽師として絶賛修行中の昌浩少年は思うわけである。皆は見えないからいいのだが、発泡スチロールで作られた生首の上に弱い雑鬼が乗っている様は幾ら見慣れてもシュールだ。まだ昼間なんだから寝てろよお前と心で呟きつつ、昌浩は割り当てられた仕事のために手を動かす。黒いビニール袋の両端を裂いていく、何のことはない単純作業だ。
 それをクラスメートに渡して、昌浩はうんと人心地ついた。そこで近づいてくるよく見知った少女の姿を認め、あ、と喉を震わせ、彼は彼女を呼んだ。「彰子!」
 昌浩の声に気付いた彰子が、少し速度を上げて近づいてくる。――と後ろから軽く小突かれた。
「おい昌浩、忙しいのに女の子呼んで何する気だよ」
「ビニールまだいるぞー」
「なぁところでこれいい感じじゃね?」
「ちょっと待ってやめろやめろ、俺は休憩! お前らも仕事しろよ!」
 ノリのいいクラスメートのからかいは日常茶飯事であり適当にあしらえるレベルだ。そのうち彼らの興味は昌浩や彰子からとある男子の着ている衣装のことに移ったらしくすぐに解放された。
 一連の流れを見て、おかしそうに彰子が笑っている。
「いい感じじゃね?」と言った男子が、半紙と墨汁で作られた若干歪な符を指先で挟みぴんと伸ばして、「なぁこれ陰陽師っぽくね?」などと言っている。彰子の視線を感じ、昌浩は彼女にだけ分かるように苦笑した。
「あれ、止痛の符なんだけどなぁ」
 他にも「呪いのお札」として作られたものが退魔術用だったりとちぐはぐだ。そんな区別がつくのは昌浩しかいないので指摘はしない。何でわかるんだよと数人がかりで尋ねられてオカルトマニアの称号を戴いてしまうだろうことは目に見えている。
 ただ、彰子が小さく噴き出した。

 喧騒が幾分か遠い渡り廊下まで避難し、昌浩は「そう言えばさ」と言った。
「彰子、クラスの準備は?」
「ちょっと抜け出して来ちゃったの。他の所どんなことしてるんだろうって思って。でも、私のクラス、展示はバルーンアートだから。もう準備も殆ど出来てるわ」
 それに、明日も人が来てくれるとはあんまり思えないし。と付け足した彰子はおそらく、去年遊びに来た際のことを思い返しているのだろう。確かに去年、ただの「展示」をしているクラスには閑古鳥が鳴いていた。
「お化け屋敷は無理でも、せめて縁日みたいなゲームコーナーとか、してみたかったのに。残念」
「まぁ、来年あるじゃんか。……あれ、てことは彰子明日一日自由?」
「うん、昌浩と回りたいんだけど、忙しい?」
 軽く首を傾げて窺うように尋ねられるそれに否という由縁がどこにあろうか。
「俺午前中お化け屋敷のほういなきゃだけど、午後なら。ラウンジかどこかで待っててくれる?」
 携帯があるなら鳴らしてもらえれば助かるのだが、昌浩はまだ携帯を持たされていない。
「分かった」
「お願い。あ、そうだ、たぶん紅蓮とか来るからさ、見つけてフル利用して模擬店のチケット買ってもらうといいよ。この学校、チケット、生徒には売ってくれないから」
「そうなの?」
「まぁ午後になったらチケット売り切れ状態で普通にお金使うこともあるけど。俺は頼んどくつもりだし。フランクフルトじゃ足りないからさー。そう言えばあそこ比古の店だっけ」
 一・二年生が展示或いは舞台発表、三年生が模擬店、というスタイルがこの学校の文化祭だ。どうでもいいが模擬店で買えるものは大抵ミニサイズなのでコンビニかどこかでおにぎりやパンでも買っていないと一日耐えきれない。
「あーきーちゃーん!」
 不意に後方から女の子の声が聞こえた。彰子が目を瞬かせる。
「ちょっとクラス戻ってきてー!」
「ええ、分かった! ……ごめん昌浩、後で」
「あ、俺どうせ最終下校時刻まで帰れないから先帰ってていいよ」
 最終下校時刻まで残って間に合うかどうか微妙…むしろ間に合わない線が濃厚な気もする進行具合である。
「分かったわ。じゃあ、また明日ね。頑張って!」
「うん、じゃあ」
 軽く手を振って別れた、その時昌浩もまた「昌浩ー!」と呼ばれる。振り返ると友人が「おい何サボってんだよー」と軽くチンピラのように振舞って近づいてきていた。似合わないことこの上ない。
「人で足りねぇんだよ手伝えほら! あとお札作ってくれねぇ?」
「無理、俺字汚いし」
 力を持つ昌浩が符を書けばそれは本当に陰陽術に使用されるものとなってしまう。不必要に力の宿るものを作ることは避けるべきだろう。
「ビニール作ってるからさ。あと何枚要る?」
「いっぱい」
「……あ、そ」
 アバウトすぎる答えに昌浩は軽く半眼になった。

 明日は文化祭である。

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碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

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・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

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