Be praying. Be praying. Be praying.
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スマイルは注文できませんでした……orz
というわけでざっかざっかと荒削りですが。
姐さんはいい具合に生意気だからさ。そして紅蓮はやるときはやれるへたれだからさ。
というわけでざっかざっかと荒削りですが。
姐さんはいい具合に生意気だからさ。そして紅蓮はやるときはやれるへたれだからさ。
勾陣にとって恋とは未知そのものだった。ただ見ていただけのものとは何もかも違っていたし、すべてがただ手探りで、そのくせ相手はと言うと同じように初めて手にした関係であるくせに妙に手慣れていた。手慣れていた、と言うよりは勾陣より余裕があった。もちろん普段は腰の引けた不器用なへたれであるのだが、いざそれらしいことをしようとしたら常に勾陣の前を行くのである。悔しいが、それを表面に出すのもまた子供じみているような気がしてさらに悔しい。だから文句を言ったことはないが、強がっていることはどうやら見通されているようで、どうにもこうにも面白くない。触れてくる手や、口付けそのものは、とても心地が良いのだけれど。
特に初めて舌を遊ばれたときはひどかった。合わせ開いた唇の隙間からゆっくりと絡んだ舌は良く言えば優しく悪く言えばねちっこく。その感覚と溢れる息に乗った声に慄いて強張った身体を、あやすように撫でた手も同じように優しかった。負けた気分がして、仕返しを試みようとも方法が分からず、少しずつとろけていった世界に唯一しがみつける場所だった紅蓮の肩に短い爪を立てることしか出来なかった。僅かな音を残してそっと離れた、その後もしばらく奇妙にぼぅっとして、やっと落ちついたところで紅蓮を睨みつけてみても紅蓮は愛おしそうにひどく優しい目をするばかりだった。
――それが、まぁ、ずいぶん慣れるものだなぁ、と、含んだ舌に応えながら他人事のように思う。
「……どうした?」
僅かな微笑を感じ取ったのか、離れた紅蓮が問うてきた。
「いや」
そっけなく返しながら濡れた唇を拭う。いつぞやか指摘されたことがあるのだが、いつの間にか癖になっている動作だ。
「…俺、何かしたか?」
「どうしてそうなる」
「いや、その、確率的に?」
不安げに揺れる金色に思わず噴き出す。雰囲気も何もかもぶち壊しだが面白い方が悪い。じと目の抗議を笑いながら受け流し、小さく呟く。
「何でお前なんかに翻弄されていたのかと思うと、おかしくてね」
「……そう言うことか」
紅蓮の返答には少しの間が空いたが、それは不自然なものではなかったから、勾陣はまったく気にしなかった。ぶち壊した空気の詫び替わりに触れるだけの口付けを仕掛ける。面倒な予感がしたのですぐに離れた。
「慣れたか?」
「うん、慣れたらそんなに大したことはなかった」
たとえば感触。熱。声。気恥ずかしさは残るものの、慣れてしまえばどうと言うことはない。こちらから遊んでやることも覚えた。人間の順応力はばかにならない。勾陣は人間ではないが。
「…まぁ、それは、よかった?」
「何で疑問形なんだ」
「いや、何と言うか。こう、一抹の寂しさが」
「訳がわからん」
何だか妙におかしくてからりと笑う。一方紅蓮はと言うと、面白くなさそうな、何か迷っているような顔で目線をあちらこちらに逸らしている。何がしたいのか本当に訳が分からない。この男が面白いのは昔からだから別に構わないが、笑ってばかりでも頬が疲れる。それを誤魔化すように、ぽつりと零した。
「寂しいと言うのならへたれなお前が悪い」
深い意味のある言葉ではなかった。ただ、ちょっとした挑発。どう返してくるだろう、呆れるか反論してくるか、そうしたら何を返してやろうと、そんなことを気分よく考えていたが、彼の反応は勾陣の予想外のものだった。
「ほう…?」
その言葉に、奇妙な冷たさを感じて。
すわ何事かと紅蓮の方を見――たと思った、そのときには肩に重圧がかかり、背中に堅い感触があった。頭だけは温かい何かで守られていた。唐突に過ぎた反撃に、押し倒されたと気づくのにも時間を要した。紅蓮の双眸は相変わらず優しいが、しかしそれを仮面代わりに奥には何か別の感情が不穏にゆらゆらとくゆっている。
「騰蛇…!?」
「うるさい」
思わず荒げた声は、奇妙なほど凪いだ甘い声に掻き消された。
つい、と、堅い皮の指先が勾陣の唇をなぞる。むず痒さに身じろごうとして、紅蓮はそれも許さない。細められた金色に、勾陣はそこに宿るものの正体を知った。それは時折見かける独占欲によく似て異なる――嗜虐欲。ぞくりと背に微かな電流が走る。ほんの少し甘くて、それ以上に得体が知れない。ただ、逃げ場を失ってしまったらしいことだけは分かった。
そして紅蓮はにぃと口元に余裕と挑発を混ぜ合わせた笑みをはいた。
「せっかくこっちが我慢してるのに、調子に乗る勾が悪い」
「どういう意味だ」
「だから」
鼻先が触れる。心臓が跳ねた。
「あんまり男を舐めるな、と言うことだ」
唇が触れた。
触れあったのは一瞬だった。離れるのではなく、触れあう以上に強く貪られる。力を込めるも舌唇を甘噛みされて開けられる。そうして侵入してきたのは優しい男ではなくて獰猛な獣だった。混乱のままに声が漏れる。それを餌に、絡み取られた舌を吸われ、突かれ、思う様に遊ばれる。遊ぶなどと生易しいものではない、蹂躙、そう形容するのがもっとも正しいかもしれない。息苦しさに紅蓮の肩を強く押す。彼は意を汲んで離れてくれた。しかしそれも一瞬。息継ぎだけを許して、再び貪られる。名を呼ぶ暇すらなかった。刺激されるのは舌だけではなくて、唇も、歯も、歯茎も、上あごも、口内のあらゆる部分が浸食される。飲みこんだ唾液がどちらのものかも分からない。ぴりぴりと背に走ったのは先程覚えたものとはまったく異なった高純度の心地よさだった。脳に直接入り込まれたようだ。頭がくらくらする。酸欠か。甘さに酔ったか。その判断も出来ない。
初めてそうした時のように、ただすがりつく。だって手を伸ばすべき場所はそこの他にない。不用意な発言を後悔しながら、それすらゆっくり溶けていく。反則だ。へたれのくせに。そんな反論が負け惜しみに過ぎないことくらいは分かっている。
痛いほどの本気を受けとめながら、今まで手加減されていたのだという事実を思い知った。
特に初めて舌を遊ばれたときはひどかった。合わせ開いた唇の隙間からゆっくりと絡んだ舌は良く言えば優しく悪く言えばねちっこく。その感覚と溢れる息に乗った声に慄いて強張った身体を、あやすように撫でた手も同じように優しかった。負けた気分がして、仕返しを試みようとも方法が分からず、少しずつとろけていった世界に唯一しがみつける場所だった紅蓮の肩に短い爪を立てることしか出来なかった。僅かな音を残してそっと離れた、その後もしばらく奇妙にぼぅっとして、やっと落ちついたところで紅蓮を睨みつけてみても紅蓮は愛おしそうにひどく優しい目をするばかりだった。
――それが、まぁ、ずいぶん慣れるものだなぁ、と、含んだ舌に応えながら他人事のように思う。
「……どうした?」
僅かな微笑を感じ取ったのか、離れた紅蓮が問うてきた。
「いや」
そっけなく返しながら濡れた唇を拭う。いつぞやか指摘されたことがあるのだが、いつの間にか癖になっている動作だ。
「…俺、何かしたか?」
「どうしてそうなる」
「いや、その、確率的に?」
不安げに揺れる金色に思わず噴き出す。雰囲気も何もかもぶち壊しだが面白い方が悪い。じと目の抗議を笑いながら受け流し、小さく呟く。
「何でお前なんかに翻弄されていたのかと思うと、おかしくてね」
「……そう言うことか」
紅蓮の返答には少しの間が空いたが、それは不自然なものではなかったから、勾陣はまったく気にしなかった。ぶち壊した空気の詫び替わりに触れるだけの口付けを仕掛ける。面倒な予感がしたのですぐに離れた。
「慣れたか?」
「うん、慣れたらそんなに大したことはなかった」
たとえば感触。熱。声。気恥ずかしさは残るものの、慣れてしまえばどうと言うことはない。こちらから遊んでやることも覚えた。人間の順応力はばかにならない。勾陣は人間ではないが。
「…まぁ、それは、よかった?」
「何で疑問形なんだ」
「いや、何と言うか。こう、一抹の寂しさが」
「訳がわからん」
何だか妙におかしくてからりと笑う。一方紅蓮はと言うと、面白くなさそうな、何か迷っているような顔で目線をあちらこちらに逸らしている。何がしたいのか本当に訳が分からない。この男が面白いのは昔からだから別に構わないが、笑ってばかりでも頬が疲れる。それを誤魔化すように、ぽつりと零した。
「寂しいと言うのならへたれなお前が悪い」
深い意味のある言葉ではなかった。ただ、ちょっとした挑発。どう返してくるだろう、呆れるか反論してくるか、そうしたら何を返してやろうと、そんなことを気分よく考えていたが、彼の反応は勾陣の予想外のものだった。
「ほう…?」
その言葉に、奇妙な冷たさを感じて。
すわ何事かと紅蓮の方を見――たと思った、そのときには肩に重圧がかかり、背中に堅い感触があった。頭だけは温かい何かで守られていた。唐突に過ぎた反撃に、押し倒されたと気づくのにも時間を要した。紅蓮の双眸は相変わらず優しいが、しかしそれを仮面代わりに奥には何か別の感情が不穏にゆらゆらとくゆっている。
「騰蛇…!?」
「うるさい」
思わず荒げた声は、奇妙なほど凪いだ甘い声に掻き消された。
つい、と、堅い皮の指先が勾陣の唇をなぞる。むず痒さに身じろごうとして、紅蓮はそれも許さない。細められた金色に、勾陣はそこに宿るものの正体を知った。それは時折見かける独占欲によく似て異なる――嗜虐欲。ぞくりと背に微かな電流が走る。ほんの少し甘くて、それ以上に得体が知れない。ただ、逃げ場を失ってしまったらしいことだけは分かった。
そして紅蓮はにぃと口元に余裕と挑発を混ぜ合わせた笑みをはいた。
「せっかくこっちが我慢してるのに、調子に乗る勾が悪い」
「どういう意味だ」
「だから」
鼻先が触れる。心臓が跳ねた。
「あんまり男を舐めるな、と言うことだ」
唇が触れた。
触れあったのは一瞬だった。離れるのではなく、触れあう以上に強く貪られる。力を込めるも舌唇を甘噛みされて開けられる。そうして侵入してきたのは優しい男ではなくて獰猛な獣だった。混乱のままに声が漏れる。それを餌に、絡み取られた舌を吸われ、突かれ、思う様に遊ばれる。遊ぶなどと生易しいものではない、蹂躙、そう形容するのがもっとも正しいかもしれない。息苦しさに紅蓮の肩を強く押す。彼は意を汲んで離れてくれた。しかしそれも一瞬。息継ぎだけを許して、再び貪られる。名を呼ぶ暇すらなかった。刺激されるのは舌だけではなくて、唇も、歯も、歯茎も、上あごも、口内のあらゆる部分が浸食される。飲みこんだ唾液がどちらのものかも分からない。ぴりぴりと背に走ったのは先程覚えたものとはまったく異なった高純度の心地よさだった。脳に直接入り込まれたようだ。頭がくらくらする。酸欠か。甘さに酔ったか。その判断も出来ない。
初めてそうした時のように、ただすがりつく。だって手を伸ばすべき場所はそこの他にない。不用意な発言を後悔しながら、それすらゆっくり溶けていく。反則だ。へたれのくせに。そんな反論が負け惜しみに過ぎないことくらいは分かっている。
痛いほどの本気を受けとめながら、今まで手加減されていたのだという事実を思い知った。
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