忍者ブログ
Be praying. Be praying. Be praying.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

最近荒ぶってる某Kさんのせいで紅蓮が本気で可哀想になってきたので救済的SS。結局へたれだけど。いいじゃないへたれだって。幸せなんだもの。
いやでもこれ勾紅ですね。フォローのしようがなく勾紅ですよね。結局ごめん紅蓮。でも最後は文句なしでいい思いだから許せ! というか私の描く勾紅ってこのオチしかないよね!

それにしても日本語でおkな文章な上にキャラ崩壊上等である。まぁいいけどね、書いてる本人楽しいし。

 目を覚ましたら唇に柔らかい感触があった。それがあんまりびっくりしたもんだから、肌寒さだとか、まだ眠いなと一瞬思ったことなんかはギネス記録を出せそうな速度でぶっ飛んだ。何のギネス記録かは知らない。そしてまたびっくりしすぎてぉぇあとか、文字に書き起こしたらこれが一番正しくなるような、たぶん高所からぶん投げられた犬でももう少しまともな声を出しそうな声が出た。
「あ、起きた」
 紅蓮を真上からひょこりと覗くようにしていたのは実行犯本人である。うっすら開いたカーテンから差し込む朝の光を背にした美貌が非常にすがすがしい。むかつくほどに。
「勾っ!!」
「うるさいぞ朝っぱらから。もう少し普通に起きれないのか」
「なら! せめて! 普通に! 起こせ!」
「油断大敵だ」
「正論のように無茶を言うなぁっ!!」
 文節ごとに区切って怒鳴る声は我ながらうるさい。しかし寝起きに動転しすぎてそのあたりをコントロールする中枢を忘れてしまった。
 寝起きにキスだなんて100人中100人が暴挙と認めてくれる暴挙である。
 片耳をふさぎあらぬ方向を向いて紅蓮の怒声をやり過ごした勾陣は実に堂々と――むしろ褒めろありがたく思えとでも言いそうな顔で――「何が気に食わないんだ」と言った。それを聞くか! もう一度怒鳴ろうとしたのになんだかその気力もない。寝起き三十秒で吸いつくされた気がする。大きくゆっくりと息を吐きだして目を閉じて十秒数えた。紅蓮の上に半分のしかかるような体勢の勾陣はその間動かない。目を開けたら先程と同じように勾陣は紅蓮を真上から覗きこんでいた。
「落ちついたか?」
「…………おかげさまで」
 落ちつかないといけないような事態になりましたこのやろう。
「…何だったんだ一体……」
「サービス?」
「なんで疑問形なんだよ」しかし首を傾げる様が無防備で妙に可愛らしい。確かにサービスと言えばサービスで解答としても間違いではないが、「と言うか逆だろ、立場的に」
「私とお前なら正しいだろう」
「俺とお前でも立場逆だろうが。襲うぞ」
「やってみろ。無理だがな」
「あのな……」
 すみません誰でもいいからこいつへの勝ち方教えてください。しかし勾陣に勝つ方法を知っている者自体世界中でひとりしかいない上そのひとりの勝利法は天然だ。紅蓮に出来るのはせいぜいが涙ぐましい反撃を呟きつつの全面降伏である。
「せめて俺が寝てるときはやめろ」
 お前だって自分が寝てるとき俺がキスしたら怒るくせに。そんな意味も若干だけ含めつつ、あまり深く考えずに発した言葉に勾陣は意外な食いつきを見せた。
「なんだ、起きている時ならいいのか」
「は?」
 言葉の意味を理解するより先に実感させられた。
 再び触れあう。また驚いて目を見開く。まだ開かれたままだった黒の双眸が可笑しそうに細くなる。そのまま閉じられる。触れるだけ、そう思っていたら離れ際に舌先が唇をなぞって行った。
 見つめ合う、ことになる。紅蓮は突発事態に固まっていたので。勾陣は薄く唇と目元に笑みをはいて紅蓮を観察している。
 これは物凄く俺にとって都合のいい夢だろうか。でも感触ははっきりしすぎている。離れてしまったのにしっかりと思い返せる。いつものものとは少し違っていて、受け入れるでも挑発するでもない。纏わりついてくる春先の子猫のように甘やかで柔い。
「……何がしたいんだ?」
「……バカップルごっこ?」
「楽しいのか?」
「結構意外に。主にお前の顔と反応が」
 へたれ、と堪え切れないように笑って勾陣は紅蓮のひくりとつり上がった片頬に人差し指を押し当ててぐりぐりしてから、満足したのか隣に寝転がった。
 コトが済んだあと、というわけではない。二人の服は乱れてなどいない。時々こんなことがある。ただなんとなく、一緒に眠る。だいたい同じような時に目が覚めて、それからまたなんとなくごろごろする。紅蓮はこの幸せな時間を気に入っていた。が、幸せと言うのは平穏のもとに成立するものであり、こんなイレギュラーなど誰も想定していない。だって寝起きと今と二回も自分からキスしてくるだなんて。勾陣が。あの勾陣が。街中で手を繋ごうとしたら本気で鬱陶しがって振り払ってくる勾陣が!
「騰蛇。腕」
 何も考えずに枕をしてやってから、もう少し言いようがあるんじゃないかと不満に思い、その不満がそもそも間違いであると思いなおした。しかし満足げな勾陣を横目で見るだけでそんなものが溶け出してふわふわとした幸福感に変わるのだからどうしようもないのは自分の方だ。もしかしてこれを見越してじゃないかこの女。それだったら――やっぱり可愛い。本気で自分の頭はそろそろ駄目だ。
 空いている方の手で髪を梳いてやる。頬ずりしてくるような仕草、は、たぶん無意識。
「なんでお前はこう極端かなぁ」
 確か俺たちは一応たぶん恋人同士だったはず、と自問したくなる態度を取る時もあればこんな風に天一や風音もびっくりな甘え方をしてくるときもある。振れ幅が非常にでかくて読めない。諦めたころにくる不意打ち――そう言えば昨日まで諦めモードだった。しょうがない、だって勾だし、なんて訳のわからない慰めを自分に言い聞かせていたら一緒に寝たいとか言いだされたのだった。もしかして計算か。計算なのか。まさか天然とか言わないだろうな。どっちにしても魔性の女だが。
「いいじゃないか、バランスが取れていて。お前が泣くこともないしお前の心臓が壊れることもない」
「泣きたいときも心臓が壊れそうな時もあるんだが。さっきとか」
「そんなもの知るか」
「いやいやいや。今言ったことと思いっきり矛盾してるぞ。清々しいくらい」
「清々しいなら問題はないな。こんな朝にはぴったりだ。流石私」
「自画自賛!?」
「仕方ないだろうお前が褒めてくれないから。ちゃんと褒めてくれたらご褒美もやるのにな?」
 紅蓮の動きが止まる。勾陣の目はいたずらな子供が宿す色で光っている。今の短い台詞がまた矛盾していたとか突っ込みたかったがそれよりむしろ、
「だから! 台詞が逆だと! 何度言えば!」
「二度も言わせるなうるさい。第一天地がひっくりかえろうと明日世界が終わろうとお前にこんな台詞は言えないから逆ではない」
 確かにそうだが! 認めてしまう自分も大概だがプライドが口に出すことは許さなかった。ちなみにこの可哀想なプライドは勾陣に言わせれば「そんな無駄なものとっとと捨てて私に従え」となる。ひどい。
「……ちなみに何くれる予定だ?」
「三度目」
 ここで折れてしまうのが諸悪の根源なのだろうが三度目は確かに魅力的だった。
 髪を梳いてやっていた手を背に回す。抱き寄せる。特別小さいはずではない身体があっけなく紅蓮の中へ収まる。こんなに細いのに柔らかい。勾陣の体温は紅蓮より少しだけ低いが、それが紅蓮の腕の中で同じにだけ上がって行くのを感じるのが好きだ。勾陣がこつんと紅蓮の胸元に耳を押し当てた。
「速い」
 可笑しそうに喉を鳴らしている。動物に喩えたら猫だと常々思っているが、こんなときは特にそう感じる。「誰のせいだ、誰の」返した声は我ながら少し不機嫌そうで、それがまた可笑しかったのか、勾陣は微かに肩を震わせた。
「……嬉しかったよ。無茶苦茶心臓に悪かったし色々突っ込みたいがな」
 そんな必要もないのに視線を逸らして。そっと囁く。できるだけ甘く。いつか彼女がまどろみの中で好きだと言ってくれた声で。
 少ししてからもぞりと動いた勾陣は「まぁ合格だ」と偉そうに言った。ここで突っ込んでも焼け石に水どころか氷点下の氷に水なことは分かっているので黙ったままでいる。上半身を起こした勾陣は少し物足りなさそうに紅蓮を見た。どうやら突っ込みを期待していてまだ遊ぶつもりだったようだ。
 約束通りの三度目。わざと薄く開いていた唇の隙間から入り込んでくる何かがあり、紅蓮は――
 そっとほくそ笑んだ。
 油断大敵なんだろう、女王様。
 捕えた。一瞬身を引こうとした彼女は、しかし引いたら負けだと思ったのか逃げなかった。主導権を奪い返そうと対向してくるも、流石に紅蓮だって仕掛ける側の経験則では負けていない。本当に猫みたいだとぼんやり思った。猫じゃらしに必死になる黒猫。心臓に悪いくらい可愛いから困る。いつもこんなならいいのに。だがそうしたら彼女の言った通り紅蓮の心臓が冗談抜きで壊れる気もした。刺激はたまのものだからいいのだ。しかし刺激の感覚は昔と比べれば短くなっていて、麻薬みたいだなと笑う。あぁ普段あんまり彼女がそっけなくてくじけそうになるのは麻薬の副作用か。納得。
 離れたときには二度目までとは違って勾陣の目元が染まっていた。






「分かったもう分かったもうしない、もう甘やかさない。ろくなことがない」
「ちょっと待ったそれは嫌だすみませんでした!」

拍手[25回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
こんばんはー
荒ぶってる加月です。
バカップル万歳!!これであたしはいくらでも荒ぶれるんだと理解しました。荒ぶると琉さんが救済してくれるんですねわかります←
何処から読んでも2828が止まりません美味しかったです!!
加月 2010/09/26(Sun)23:28:08 編集
忍者ブログ [PR]

Template by wolke4/Photo by 0501
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

今萌えてるもの
・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

主な生息地↓
twitter
最新CM
[12/26 匿名さん]
[06/30 慎]
[09/22 朝比奈]
ブクログ