Be praying. Be praying. Be praying.
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もう諦めたい。
くそう。
「考えるときに頬に手を添える」はたぶん天后さんの癖。『花の香の常盤』で二、三回この動作出てきた。ゲームの立ち絵にこのポーズあったし。
「髪を掻きあげる」はたぶん姐さんの癖。何かこのイメージあるから読み返したら色々出てくるはず。
くそう。
「考えるときに頬に手を添える」はたぶん天后さんの癖。『花の香の常盤』で二、三回この動作出てきた。ゲームの立ち絵にこのポーズあったし。
「髪を掻きあげる」はたぶん姐さんの癖。何かこのイメージあるから読み返したら色々出てくるはず。
頭の中が真っ白になった。どうしよう。だって心の準備なんかしていなかった。そもそもどうして彼女が自分に声をかけてきたのか。
「……都合が悪かったか?」
勾陣が苦笑気味に小首を傾げる。いいえ、と天后は首を横に振った。
「びっくりしただけ」
返答は硬い声だったが、いたしかたないことだろう。
勾陣は少し躊躇いを見せた後、天后の傍に腰を下ろした。天后が愛でていた花を見て、ほう、と彼女の声が上がる。
「こんな花があったんだな」
「知らなかったの?」
「気にしたことがなかった。自然のある場所にはあまり行かないしな」
「……じゃあ、どうしてここに?」
勾陣は天后の方を向いて、綺麗に笑った。凛々しい顔立ちが、しかし笑み崩れて柔らかいものになる。こんな顔をするひとなんだ、と天后はそれを横目で見て軽く目を見開いた。
「いや、天后、お前がいたから」
「…私?」
自分を指差して聞き返す天后に、勾陣は首肯した。「そう、お前」
どうしてだろう、と当初の疑問が蘇る。親しいわけではなかった。天后はむしろ勾陣を避け気味だった。騰蛇ほどでないとはいえ強く苛烈な神気は畏怖の対象だったし、親しくする必要性もなかったから。
同胞であるから興味の対象ではあったけれど、まだ遠巻きに眺める段階であったのだ。
「暇だったんだ」
こともなげに勾陣は答える。
「人界を覗くのにも手合わせにも飽いた。天一は朱雀と一緒で、太陰も玄武と一緒だ。騰蛇や青龍、六合とは会話が続かないし、白虎や太裳とばかり話しているのもな」
翁は? と数え上げられなかった人物について尋ねると、勾陣は渋い顔をした。そのまま片目をすがめて首をすくめてみせる。
「天空は、少し苦手なんだよ」
天后は意外な思いで勾陣をまじまじと見た。確かに天空の翁は刃向えぬ威厳をたたえているが、苦手と言うほどのものではない。
天后の視線に、勾陣は言い訳をするように言を継いだ。「見とおされているようで、な」その言い草と声音が酷く子供っぽくて、天后はまた意外な思いにかられた。
「それで、私に白羽の矢が立ったってこと?」
「うん、まぁ、実を言えばそれなりに前から話してみようとは思っていたんだが。外見が同じくらいの女はお前だけだし、うまも合いそうな気がしていたんだ」
また意外な思いで勾陣をまじまじと見る。今まで抱いていた『勾陣』の像と目の前の女性が上手く重ならない。こんな表情を浮かべる女性だっただろうか。こんなに子供っぽい仕草をする女性だっただろうか。こんなことを言ってくる女性だっただろうか。
「じゃあ、どうして今更私に話しかけてきたの? そんなこと思っていたのなら、早く言ってくれてもよかったのに……」
「まぁ、そうしたかったんだが、な。…天后」
長めの前髪を掻き上げて、困ったように、勾陣は優しい目をした。綺麗な黒い目が柔らかく光る。
「お前、私のことが恐いだろう?」
今度こそ、天后は息が止まるほど驚いた。
「……都合が悪かったか?」
勾陣が苦笑気味に小首を傾げる。いいえ、と天后は首を横に振った。
「びっくりしただけ」
返答は硬い声だったが、いたしかたないことだろう。
勾陣は少し躊躇いを見せた後、天后の傍に腰を下ろした。天后が愛でていた花を見て、ほう、と彼女の声が上がる。
「こんな花があったんだな」
「知らなかったの?」
「気にしたことがなかった。自然のある場所にはあまり行かないしな」
「……じゃあ、どうしてここに?」
勾陣は天后の方を向いて、綺麗に笑った。凛々しい顔立ちが、しかし笑み崩れて柔らかいものになる。こんな顔をするひとなんだ、と天后はそれを横目で見て軽く目を見開いた。
「いや、天后、お前がいたから」
「…私?」
自分を指差して聞き返す天后に、勾陣は首肯した。「そう、お前」
どうしてだろう、と当初の疑問が蘇る。親しいわけではなかった。天后はむしろ勾陣を避け気味だった。騰蛇ほどでないとはいえ強く苛烈な神気は畏怖の対象だったし、親しくする必要性もなかったから。
同胞であるから興味の対象ではあったけれど、まだ遠巻きに眺める段階であったのだ。
「暇だったんだ」
こともなげに勾陣は答える。
「人界を覗くのにも手合わせにも飽いた。天一は朱雀と一緒で、太陰も玄武と一緒だ。騰蛇や青龍、六合とは会話が続かないし、白虎や太裳とばかり話しているのもな」
翁は? と数え上げられなかった人物について尋ねると、勾陣は渋い顔をした。そのまま片目をすがめて首をすくめてみせる。
「天空は、少し苦手なんだよ」
天后は意外な思いで勾陣をまじまじと見た。確かに天空の翁は刃向えぬ威厳をたたえているが、苦手と言うほどのものではない。
天后の視線に、勾陣は言い訳をするように言を継いだ。「見とおされているようで、な」その言い草と声音が酷く子供っぽくて、天后はまた意外な思いにかられた。
「それで、私に白羽の矢が立ったってこと?」
「うん、まぁ、実を言えばそれなりに前から話してみようとは思っていたんだが。外見が同じくらいの女はお前だけだし、うまも合いそうな気がしていたんだ」
また意外な思いで勾陣をまじまじと見る。今まで抱いていた『勾陣』の像と目の前の女性が上手く重ならない。こんな表情を浮かべる女性だっただろうか。こんなに子供っぽい仕草をする女性だっただろうか。こんなことを言ってくる女性だっただろうか。
「じゃあ、どうして今更私に話しかけてきたの? そんなこと思っていたのなら、早く言ってくれてもよかったのに……」
「まぁ、そうしたかったんだが、な。…天后」
長めの前髪を掻き上げて、困ったように、勾陣は優しい目をした。綺麗な黒い目が柔らかく光る。
「お前、私のことが恐いだろう?」
今度こそ、天后は息が止まるほど驚いた。
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