忍者ブログ
Be praying. Be praying. Be praying.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

昨日言ってたやつ、書いてみました(←

うん結構楽しい(ぁ
多分続きも書く…か? ぁあそっか、いっそ支援みたいに三段階で進めていけばいいのか(笑

でもいいかげんFEクリアしたいー。今22章だからもう少しかな? と言うかユニットもう少し育てておけばよかった、今の一軍メンバーじゃ新劇可能ユニット数に届かない(笑
タニスが話し方とか顔つきとか若干勾陣っぽいから育ててみようかと思ったけど(←)上級職レベル10での加入な割りにパラメータが若干低くてどうしようと言う感じです(訊いてない



…取り敢えず紅勾FEパラレルです(←
名前は漢字表記。カタカナでも響き的に問題はないけど字面的に若干問題だと思ったので(笑





 半獣。

 恐怖と嫌悪に彩られた叫び声を耳が拾ったのは、ちょうど武器を新調するために立ち寄った武器屋から真新しい鉄の剣とキルソードを手にして、店主に礼を言いながら武器屋を後にした時だった。
 人間の性と言うべきか。条件反射のように音源の方へ首を巡らせる。見据えた先にあるのは人垣で、何が行われているのかは分からない。ただ人々が、何やら酷い言葉を吐き出していることだけは気配で感じられた。
 まぁ、俺には関係ないか。
 そう判断を下して踵を返そうとした紅蓮を中年の女性が呼びとめる。

「ちょいと! あんた、傭兵かい?」
「……一応そうだが」
「それはよかった! あそこに半獣がいるらしいんだが、こらしめてやってくれないかねぇ。人間様の街に汚らわしい半獣ごときが来るなって」
「いや俺は」
「ああもちろんお金は街の皆でそれなりに渡すよ。……皆、それでいいかい!?」

 こちらの話を全く聞かない、この年代の女性にありがちな迷惑極まりない話術に飲み込まれていたら、知らないうちにわらわらと人が寄ってきていた。「悪いが、この話は請けない」と告げようとした舌が気迫に飲まれて凍り付く。―――何だこの雰囲気は、断ったら俺が迫害されそうじゃないか。
 近日中にこの街を出るつもりでいたものの、追われるように立つのはごめんである。
 加え、確かこの街には自警団がいたはずだ。半獣刈りと称して、目算に十メートルほど先にいるはずのラクズが殺される、ということも有り得る。
 武器を買うタイミングまずったかなぁと後悔しつつも紅蓮は頷いた。

「……分かったから、取り敢えずそのラクズのところまで行かせてくれ」

 ラクズとまみえるのは初めてになるが、近づかないことにはどうしようもない。
 頼んだよ、とか何とか言っている声を流しながら紅蓮は地を蹴った。

 そうして人垣の中で何が行われているかを見て、絶句した。

「この、半獣が!」
「寄るな、さっさとどこかへ失せろ!」
「獣は獣らしく森の中で暮らしていればいいじゃないか!」

 聞いていて気分が悪くなるような罵声の嵐。暴力を奮っているのはぱっと見ただけでも五人。遠巻きに見る人々の表情は一様に嫌悪をあらわにしている。
 その上、紅蓮の見間違えでなければその中心にる被害者は、女性だ。

「―――おうおう、半獣はどこにいるんだ!?」

 どこの賊だ、と突っ込みたくなるような台詞と共に現れたのはおそらく自警団だ。
 そちらに注意が逸れた一瞬の後にどよめきが上がる。再び人垣の中に視線をやったその時、何重もの悲鳴が耳朶をつんざいた。
 その隙に人垣から抜け出す影が一つ。

 ベオクの子供よりは確実に大きいだろうと思われる体躯の、黒猫。

 反撃が来るか、と思い剣の柄に手をかけた。しかし紅蓮の―――ひいてはその場にいた人々の予想に反して、猫が俊敏な動作で地を蹴って、逃げた。
 一目散に逃走を試みる猫の後姿目掛けて、あろうことか弓が射られた。

「なっ……!?」

 驚愕に目を見開いた紅蓮の視界の中に、微かに赤い霧が映った。
 誰かが、かすっただけか、と忌々しげに呟いた。ラクズがもう戻ってこないことが分かると、相変わらず理解できない方が幸せな悪態を吐きながら人々が散らばっていく。
 先ほど紅蓮に半強制的に仕事を押し付けてきたおばさんたちが来る様子もない。

(……冗談だろ、あんな)

 しばらく茫然とラクズの逃げて行った方向を見ていた紅蓮は、出来るだけ街の人間に気づかれぬように、その方面へと駆けだした。
 何故かはわからない、ただなんとなくの決断だ。





 この世界は二つの種族が暮らしている。
 ひとつはベオクと呼ばれる、いわゆる『人間』だ。知恵を持って進化し、武器を持って戦うようになった。
 もうひとつは、ラクズと言う。基本的に外見はベオクと大差ないが、しかし外見上の決定的な違いがある。獣の耳や尻尾、あるいは鳥の羽などを持っているのだ。完全なる獣の姿に【化身】することもでき、そうなれば力はベオクなどとは比べ物にならないくらいに上がる。生物としての能力はベオクよりも確実に上位にある。

 この二種族間には決定的な亀裂が走っている。

 ベオクはラクズを、ラクズはベオクを嫌悪しており、別種族を理解しようと言う動きは今のところほぼ見られない。ベオクのクリミア王国とラクズ・獣牙族のガリア王国は今のところ唯一国交を持っているが、民間人にまでは浸透していない。
 特にベオクの持つ反ラクズ感情は凄まじい。先ほどの街はそれがかなり顕著に現れていた。―――あれが普通だだとは考えたくない。

 ラクズの姿を見失った紅蓮は、肩で息をしながら首を巡らせた。
 ―――最後に弓で射られた傷。下手をしたら刺さっていたはずで、決して浅いものではないはずだ。ラクズの生命力はベオクより高いと聞くが、ベオクのような技術や道具を持たないラクズをあのまま放っておいたら最悪の事態も考え得る。
 人里からはそれなりに離れた。足の筋肉がいい加減休ませろと主張している。…と言うかそもそも俺、ここまでしてどうしてあのラクズを追ってきたんだろう。
 疑問に首をもたげながらも、ここまで来たんだしもう少し、と思い歩を進めた。
 そしてしばらく行って、紅蓮は黒い影を見た。
 先ほどの黒猫。
 紅蓮に気づいたらしきラクズが身体の向きを変え、紅蓮を正面として唸った。警戒と威嚇と敵意―――取り敢えずあまり良い感情とは言えない諸々―――が向けられているのを感じて紅蓮は頬を掻いた。
 別に何をしようとして追いかけてきたわけではないのだけれど。
 ただ、ラクズにちょっとした興味が沸いただけなのだ。

「……俺、多分お前の敵じゃないと思うんだが」
「信じられるか。ならば何故ここまで来た、ニンゲン」

 化身したラクズって喋れるんだ、と紅蓮は妙な感銘を受けた。
 【ニンゲン】とは、ラクズがベオクに対して悪感情を伴って呼ぶ呼び方である。ベオクがラクズを【半獣】と呼ぶのと同じようなものだ。
 紅蓮は顔をしかめた。黒猫の言葉に気を悪くしたのではない、つややかな漆黒の毛並みが一部赤黒く染まっているのを見たからだ。やはり想像通り、かなり深い。

「…手当て?」
「………は?」
「いや、傷。さっきの弓の」
「……貴様、正気か?」
「正気だが」

 答えつつ武器類は全て捨てて、警戒を解いてくれないラクズの方へ歩を進める。ラクズがどこかぎこちない動きで一歩後ずさった。

「信じる信じないは勝手だが、かなり深いだろう? それ。ついでに俺は信仰深くもないんで杖の類は使えない。だから化身を解いてくれたら助かるんだが」
「…薬だけくれれば後は勝手にやる」
「目の前の怪我人をほっとけるか」

 頑固だなぁと思いつつ、取り敢えず逃げもしないし襲いかかってもこないので敵認定はされていないことにほっとした。
 明らかに訝しがりながらも、一応信用はしてくれたのか、ラクズが化身を解いた。紅蓮が想像していたよりもずっとあっけなくその姿が変わる。光りもしなければ何かモーションがあったわけでもなかった。

 我知らず、息を呑んだ。
 有り体に言えば、美人だった。ラクズの美醜感がどうかは知らないが、少なくともベオクの中では誰もが口をそろえて美人だと評すだろう。
 黒猫に化身した時の毛並みに良く似た短い漆黒の髪がさらりと風にさらわれる。ただ化身時に黄金色に輝いていた瞳は髪と同色になっているが。見た目は紅蓮と同年代くらいだ。
 耳や尻尾が確かにベオクとは違うのだと主張していたが、大した違いには思えなかった。
 むしろ赤色に染まった腕と漂う血臭のほうが問題だ。

「…うわ、本当に深いな。まぁ特効薬があるからどうにかなるか。悪いが手当てなんて基本的に自分のしかしないから荒っぽくなるぞ。あぁ、取り敢えず座れ」

 傷の様子を見ながらぶつぶつ呟いて、紅蓮は荷物袋の中を漁る。言われたとおりに腰をおろした女が、呆れたような、感心したような、妙なものを見つけたような、判断に困る声音で小さく呟いた。

「………お前、本当にベオクか?」
「…………取り合えず、一応は。なんでそんなことを訊く?」
「ベオクがラクズである私の身を、傷つけこそすれ案じるなど思いもしなかった。それもそのために追いかけてくるなど」

 そこでいったん女は息を吸って、

「お前、面白いベオクだな」

 声音に笑みが滲んでいる。彼女の中の紅蓮の印象がそれなりによくなったようだ。

「それはどうも。……っと、よし、腕出せ。………あぁそうだ、俺は紅蓮と言うんだが、お前は?」
「……慧斗」

 けいと、と心で繰り返し、綺麗な響きだなと思った。

拍手[1回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
FEパラレル読ませていただきました!
紅蓮も勾陣も、ものっすごい萌えです!
読みながらニヤニヤしてしまいました
楽しかったです
羅茄 2008/03/23(Sun)21:06:18 編集
忍者ブログ [PR]

Template by wolke4/Photo by 0501
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

今萌えてるもの
・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

主な生息地↓
twitter
最新CM
[12/26 匿名さん]
[06/30 慎]
[09/22 朝比奈]
ブクログ