Be praying. Be praying. Be praying.
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ドラマCD聞いてたら頭の上で電球が光った(笑
晶霞から晴明へ。
晶霞って孫やひ孫のことはどう思ってたんだろう。巻き込んで申し訳ないとかはあったのかな? もっといっちゃって、見たことも聞いたこともなくとも愛情めいたものは持ってたのかな? それとも流石に知覚していなければそんな感情を持つことはなかったのかな。
ここの違いによって晶霞のキャラをどうつかむかが決まるんだけど…。
ところで晶霞の中の人の地の声が凄い好きな声だった。
8/100
晶霞から晴明へ。
晶霞って孫やひ孫のことはどう思ってたんだろう。巻き込んで申し訳ないとかはあったのかな? もっといっちゃって、見たことも聞いたこともなくとも愛情めいたものは持ってたのかな? それとも流石に知覚していなければそんな感情を持つことはなかったのかな。
ここの違いによって晶霞のキャラをどうつかむかが決まるんだけど…。
ところで晶霞の中の人の地の声が凄い好きな声だった。
8/100
森が暁の色に染まっている。早朝独特の水気をはらんでいる風は寒くはないが底冷えがした。ゆるゆると吹く風に長い髪が揺れる。
細心の注意を払って気配を押し殺し、呼吸さえも注意深く行いながら、晶霞は大きな木の幹に凭れ、そのままずるずると座り込んだ。寒いわけではないのに自分を抱くように腕を回して腕をさする。
息が上がっているわけでも興奮しているわけでもないのに心鼓が煩い。いいやそれだけではない、不自然に踊る胸の奥は沸き上がる欲求と叶わない現実との板挟みとなって焦がれるような痛みを訴えている。
それなのに、それなのに――口元にはどうしても、仄かな笑みが浮かんでしまう。
閉じた瞼の裏に、呆然とした目で自分を見た青年が描かれた。
愛した男に、よく似ていた。
自分では分からないだけで、きっと自分にもよく似ている。
気付かれなかっただろうか。彼の目に、自分はちゃんと「冷たい、謎の異形」として映ることが出来ただろうか。
嬉しいと思ってはならない。再び会えて、温もりは欠片もなくとも言葉を交わせた、そのことを決して嬉しいと思ってはならない。本来この邂逅はあるべきではなく、彼が死ぬまでまみえることがないことを強く望んでいたのは他の誰でもない晶霞自身のはずだった。
会ってしまえば記憶が鮮やかに蘇る。ひと言言葉を交わせばふた言めを欲してしまう。――眠っていた唯一の望みが目覚め、さらなる望みとなってしまう。そのような危惧は常に抱いていて、だから都には近づかないようにしていた。もちろん理由の殆どは凌壽の目に息子が止まらないように、だったけれど、割合としては少なくとも、それだって確かに理由だった。
そしてやはりさらなる望みは芽吹いてしまい、今も少しずつ膨らんでいく。唯一の望みが叶ってしまわない限り、表に出ることはないのだろうけれども。
――我が眷属の血を引いた人間よ。その力がお前の命を削るだろう。
あぁ違う本当は、言いたかったのはそんな言葉ではなく、そんな冷たい声音をかけたかったわけではなく。
晴明。私の愛しい息子よ。お前は私を怨んでいないか。それも確かに聞きたいのだけれど、本当に聞きたいことはもっと別のことで、
お前は、今、幸せ、なのか? 幸せに、生きてきたか? 幸せに生きているか?
その答えを晶霞が知ることはない。知らないまま――今生の別れを果たすのだろう。
それくらいよく知っていた。
簡単な答えだ。晶霞が晴明にそう問うことはないのだから。
目を開けた。その目に鋭利な光が宿っていることに本人は気付かず、周囲にはそれに気付く誰もいない。
私の言葉を外してみせよう。決して予言にはしない。
何があっても晴明、お前を生かそう。決して死なせはしない。
だってそうだろう? 子供が親より先に死ぬなど、あってはならないことなのだから。
細心の注意を払って気配を押し殺し、呼吸さえも注意深く行いながら、晶霞は大きな木の幹に凭れ、そのままずるずると座り込んだ。寒いわけではないのに自分を抱くように腕を回して腕をさする。
息が上がっているわけでも興奮しているわけでもないのに心鼓が煩い。いいやそれだけではない、不自然に踊る胸の奥は沸き上がる欲求と叶わない現実との板挟みとなって焦がれるような痛みを訴えている。
それなのに、それなのに――口元にはどうしても、仄かな笑みが浮かんでしまう。
閉じた瞼の裏に、呆然とした目で自分を見た青年が描かれた。
愛した男に、よく似ていた。
自分では分からないだけで、きっと自分にもよく似ている。
気付かれなかっただろうか。彼の目に、自分はちゃんと「冷たい、謎の異形」として映ることが出来ただろうか。
嬉しいと思ってはならない。再び会えて、温もりは欠片もなくとも言葉を交わせた、そのことを決して嬉しいと思ってはならない。本来この邂逅はあるべきではなく、彼が死ぬまでまみえることがないことを強く望んでいたのは他の誰でもない晶霞自身のはずだった。
会ってしまえば記憶が鮮やかに蘇る。ひと言言葉を交わせばふた言めを欲してしまう。――眠っていた唯一の望みが目覚め、さらなる望みとなってしまう。そのような危惧は常に抱いていて、だから都には近づかないようにしていた。もちろん理由の殆どは凌壽の目に息子が止まらないように、だったけれど、割合としては少なくとも、それだって確かに理由だった。
そしてやはりさらなる望みは芽吹いてしまい、今も少しずつ膨らんでいく。唯一の望みが叶ってしまわない限り、表に出ることはないのだろうけれども。
――我が眷属の血を引いた人間よ。その力がお前の命を削るだろう。
あぁ違う本当は、言いたかったのはそんな言葉ではなく、そんな冷たい声音をかけたかったわけではなく。
晴明。私の愛しい息子よ。お前は私を怨んでいないか。それも確かに聞きたいのだけれど、本当に聞きたいことはもっと別のことで、
お前は、今、幸せ、なのか? 幸せに、生きてきたか? 幸せに生きているか?
その答えを晶霞が知ることはない。知らないまま――今生の別れを果たすのだろう。
それくらいよく知っていた。
簡単な答えだ。晶霞が晴明にそう問うことはないのだから。
目を開けた。その目に鋭利な光が宿っていることに本人は気付かず、周囲にはそれに気付く誰もいない。
私の言葉を外してみせよう。決して予言にはしない。
何があっても晴明、お前を生かそう。決して死なせはしない。
だってそうだろう? 子供が親より先に死ぬなど、あってはならないことなのだから。
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