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Be praying. Be praying. Be praying.
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甘く、甘く、沈む。





現代。紅勾、というか勾紅。むしろ完全に勾紅。きわどい描写あり。

こ れ は ひ ど い /(^o^)\
何がひどいってこれを学校の図書館で書いてたことです
しかもSMちっくになる→BLちっくになる(主に姐さんの口調のせいで)→男性向けちっくになる→これに落ち着くという無茶苦茶な経路辿ったという

でも超楽しかったなんかはまりそうやばい

 ふいと口づけをしてやった。
 紅蓮の部屋でベッドに隣り合わせて腰掛け二人、酒を持ち込んで何気ない話をしていた。紅蓮の部屋、という状況に別段の他意はない。ダイニングに先客が陣取っていてだけである。この家では大体何事も先着順という暗黙絶対のルールがある。せいぜい人間たちが優先される程度だ。
 色気のある話をしているわけではなかった。むしろ勾陣は普段通り紅蓮をからかって楽しんでいた。それなり以上には愛があることが分かっているので特別気分を害したわけではなかったが、それでも面と向かってへたれ扱いされれば内心忸怩たるものがある。だから口づけをしてやった。勾陣が不意打ちに弱いことは熟知した上だ。とたんに肉の薄い肩がぴく、と動いて不自然に硬直する。気分をよくして唇を重ねたまま微笑み、調子に乗って彼女の下唇を甘噛みして開かせると侵入する。酒の匂いが脳まで直接漂うようで、薄くも柔らかい唇は少し冷たく、小さな舌は熱い。舌を絡め、吸い、歯茎も歯列も上顎も何もかも全部余すことなくなぞって舐めた。とろとろとまどろみのように心地がよい。時折漏れ聞こえる声まで含めて存分に堪能してからゆっくり離した。視線は外さず、濡れた唇を拭ってやる。彼女の顔は酔いのせいではなく赤い。黒曜石の深い場所でぎらりと炎が煽られている。勾陣がこんな表情を見せることなど他の誰も知らないだろう、常に泰然自若として可愛げのない彼女がこんなにも女を剥き出しにするなんて。それを思うと紅蓮の独占欲はたまらなく満たされるのだ。
 しばらく呆然と、しかし睨むように紅蓮を見据えていた勾陣は、やがておもむろに俯いた。紅蓮は彼女の髪を一房掬い取り指先でくるりと遊び、さらに全体を梳いてやろうとして――その手を跳ね退けられた。空を切った白い手の甲は力任せなどではなく流れるように動いた。そして無言のまま勾陣は立ち上がる。
 しまった、と紅蓮は手を伸ばすが指は空しく空気を掻いた。逃がすか。慌てて立ち上がろうと前のめりに重心を移す。だが、勾陣は部屋から出ていったりなどしなかった。それどころか鍵をかけて戻ってくる。予想外の展開に紅蓮は再びベッドに腰を深く沈め、勾、と呼ぼうとして、
 逃げ損ねたのは自分であることに気付いた。
 に、と弧を描く口許は普段の挑むようなそれではない。獲物を見つけたことが愉しくてたまらない、しかし獣のようと形容するには誇り高く気高さを纏っているくれないの色。目が、釘付けになる。すっと細められた双眸が妖しい婀娜を惜しげなく晒して抗えない。
 紅蓮はよく彼女をこう喩える。それは単なる比喩ではない。
 女王様。
「――騰蛇」
 低めの声が蠱惑的な熱をはらんで耳朶に忍び込む。のどを鳴らして唾液を飲み込みながら無意識に後ずさる。頬が小刻みにひきつった。紅蓮が意図したのとはまったく逆のスイッチが入ってしまったらしいことは判断に難くない。うまく動かない頭がぎりぎりと錆び付いた音を立てながら状況打開案を模索するが、紅蓮の思考はどこまで手を伸ばし泳いでいっても白く霞がかったままだ。浮かびかけた言葉のかけらさえ彼女に見惚れてじゅうと溶けてしまう。
 すぐに、とん、と背と壁が触れた。息を呑んで逃げ場がないことをちらと窺った瞬間、衝撃が空間に響いた。細い両手をばんと音を立て勢いよく壁について紅蓮の左右を封じた勾陣は、そっと耳元に顔を寄せて囁きかける。
「どうした…? 逃げるなよ、騰蛇」
 膝を立てて中腰の彼女の頭は紅蓮より上にある。覆い被さられるような体勢はそれなりに新鮮で、だからこそどうしていいか分からない。駄々をこねるように嫌だと首を振ると、鋭い眼光に貫かれ、そのまま耳朶を軽く噛まれた。刺激に呼吸を忘れる、今度は唇を舌先で舐められ、次に鼻先に柔らかな感触が一瞬訪れてすぐに離れる。彼女が動くたびに黒髪が頬をくすぐった。視線を逸らすことも、目を閉じることも許されていないように、紅蓮はただ瞬きを繰り返して彼女を受け入れる。
 力任せに押し返すことは、おそらくできただろう。どれだけ体勢的な不利があろうと紅蓮が腕力にものを言わせれば彼女の行動を封じることは造作もない。そのままベッドに縫いつけてやることだってできただろう。
 だが紅蓮は動かない。動けない。
「……よし、いい子だ」
「勾……」
 無骨なのどを、触れるか触れないか、ぎりぎりの位置を保って細い指がなぞり、下っていく。ごくりとのどを鳴らした紅蓮に勾陣はご満悦だ。
「逃げるなよ?」
 もう一度釘を差して、彼女は壁に肘から先の右腕を押しつけて紅蓮に密着する。柔く豊満な感触を押しつけられて紅蓮は慄くが、壁に阻まれ身を引くこともできない。勾陣は実に愉しそうに笑うと彼の唇を奪った。目を、閉じる。入り込んできた舌に、たとえば普段紅蓮が仕掛けるような、凌虐の動きはない。彼を煽ることだけを目的とした舌は思いの外優しかった。褐色の肌を伝っていた左手が、シャツのボタンをひとつふたつと、ゆったりとした所作で、確実にくつろげていく。力を抜いてなすがままにされていた紅蓮は、彼女の舌に応え、また彼女のシャツに手を伸ばす。第二ボタンまでを外したとき、急にぴり、と痛みが走って目を開いた。唇を噛まれたのだ。離れた彼女は笑みを保ったまま冷ややかな声を出した。はだけたシャツの隙間から見え隠れする下着と、それに包まれている見るからに柔らかそうな胸の丸みに煽られる。
「動くな」
 滲んだ血を舐めとられる。
 サディスティックな薄笑いが扇情的だ。
「私がいいと言うまで勝手なことをするな。言いつけが守れないようなら、縛ってやろうか?」
 恐ろしい、わけではない。だが、言霊を操っているかのように、彼女の言葉には逆らえぬ凄みがあった。むずがるように首を振る紅蓮の顎を掬い、彼女は言う。
「いいか? 余計なことはするな、私の言うことに従え。……ちゃんとできたら、ご褒美だ」
「っ…、はっ……」
 血液の集まり始めた下腹部をおもむろに撫でられて、上がりかける声を必死に噛み殺す。慈しむような手つきに、しかし容赦はない。ファスナーを下ろされて、ゆるゆると触られる快感が、断続的に背を走る。息が上がる。「さあ」たちまちに屹立していくそこを一瞥して、勾陣は熱くささめく。
「どうしようか。何が欲しい? 何をして欲しい? 叶えてやってもいいぞ、騰蛇……」
 ここにきて、彼からいっさいの反抗の気は取り上げられていた。どうしようもなく熱い呼気を吐き出しながら、間近にある彼女を見つめるだけだ。まだ、蜂蜜色は溶けてはいない。彼女に楯突くでも屈するでもない、その中間で不思議な均衡に揺らめいている。ふうん、と勾陣は軽く舌なめずりした。「いいな、その目」リップノイズを立てて彼の瞼に口付ける。「変に抵抗されるよりもっと、完全に浮かせてみたくなる」
 まあ、抵抗してくれてもそれはそれでいいんだが、と彼女は妖しく笑った。
「勾……」
「答えろ」
 緩やかに上下していた手の動きが突然止まったかと思うと、唐突にそれを強く握られ、息が詰まった。指が赤い先端へと延び、頂点近くでくるくると極小の円を描く。彼の性器はその刺激に時折ぴこりと跳ねた。苦しくはない。痛くもない。あるのは快感だけだ。腰を中心に全身が耐え切れぬ甘さに痺れていく。勾陣はその加減を完全に分かっているらしかった。シーツを強く握って脊椎を走っていく電流をやり過ごす。
「お前は誰のものだ?」
「お、れは……」
 少しだけ瞼を閉じた。勾陣の気に障らない程度に。
 倒錯していく。いや、すでに倒錯のただなかにあるのか。どうでもいい。ただ、微笑む彼女がひどくきれいだった。紅蓮を攻める彼女も少なからず興奮しているようで、白い肌が薄く色づいている。ぎらりと輝く瞳の、奥で音を立てて燃え広がる炎の陰りが、男の劣情をどうしようもなく煽る。
「勾、のものだ、から、……お前、が、欲しい」
 勾陣は紅蓮の言葉を吟味するように瞬きを繰り返し、「充分ではないが」首筋から鎖骨にかけてを舐めていく。
「今のところは、合格にしておいてやるか」
 この程度で終わるとは思っていないだろう? いっそ優しくそう言うと、鎖骨の下あたりを勾陣は強く吸い上げる。心地の良い痛みが咲いた。繊細な指先が軽く開いたやや固い唇をなぞると、勾陣は「口づけをしろ」と彼に命令をした。許しが出たので手を伸ばし、柔らかな頬を両手で包み込み、引き寄せるのではなく自ら彼女の方へ傾いて、重ねる。触れるだけだ。それ以上を言われはしなかったから。正解だったようで、触れ合った唇から彼女が満足そうに笑んだのが分かった。やがて再び入り込んでくるものがある。ちゅ、と音を立てて舌を吸われ、遊ばれる。こうしてされるがままでいることが意外に悪くないことを紅蓮は知っていて――飼い慣らされていることは、自覚していた。今からでも自分が彼女を攻めたい気持ちがないわけではない、だが、一秒ごとに盛ってゆく劣情の、その燃えかすに埋もれて見えなくなってしまう。どうでも、何でもいいのだ、今は。
 今はただ、女王様の仰せのままに。

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碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

今萌えてるもの
・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

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