Be praying. Be praying. Be praying.
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近いうちに「 Be my precious 」を消そうと思ってます。
理由は、あんまり書けないから。
ああいう「書く場所」があると、「書かなきゃ!」ってどうしても気負ってしまって
上手く書けなくて。いちいちFC2を開くのも面倒くさいし、
こっちに「小話」のカテゴリ作ったし。
てわけで、とりあえずお気に入り(と言うほど作品数多くないけど)を
こっちに救出してから消します。
よって、以下小話。
紅勾、「儚き〜」含む軽いパラレル、死ネタ(ぇ
「もしあの時勾陣が助からなかったら」というわけでシリアスです(ぉぃ
苦手な方はご遠慮くださいー。苦情なんて受け付ける気さらさらありません。
すこし加筆修正を加えました。
理由は、あんまり書けないから。
ああいう「書く場所」があると、「書かなきゃ!」ってどうしても気負ってしまって
上手く書けなくて。いちいちFC2を開くのも面倒くさいし、
こっちに「小話」のカテゴリ作ったし。
てわけで、とりあえずお気に入り(と言うほど作品数多くないけど)を
こっちに救出してから消します。
よって、以下小話。
紅勾、「儚き〜」含む軽いパラレル、死ネタ(ぇ
「もしあの時勾陣が助からなかったら」というわけでシリアスです(ぉぃ
苦手な方はご遠慮くださいー。苦情なんて受け付ける気さらさらありません。
すこし加筆修正を加えました。
―――それは、己の存在理由だった。
止めろ、と言われた。けれどおそらく、何もなくても自分はここに来ただろう。
この時が来るかもしれない、そのときは。それだけが生の理由であり、昌浩が生まれるまでずっと、心をつなぎとめていた優しい楔だった。
なのに。
「と、…だ……」
「慧斗!」
色をなくした声が、無彩色の空間に響く。
気力でもっていた膝がおもむろに砕け、勾陣の肢体がくずおれる。それを支えるため咄嗟に腕を伸ばし、紅蓮は息を飲んだ。
――――――冷たい。
うたがれた傷口は深く、出血もまた酷く。胸元を右腕を染め上げた朱はおびただしい量で、ぬるりと粘性を帯びている。
より一層白に染まった頬は既に血の気を失せておりまさしく紙のよう、それが命の刻限が近づいていることを告げていた。
恐怖が背を駆け巡り。
気が触れたように、何度も名を呼んだ。
『慧斗』、―――この魂につけられた名。 『十二神将勾陣』ではない、この魂、否、この存在につけられた、最も短く、故に強力な呪。
失うなんて、考えたこともなかったのだ。
十二神将にとって、死は最も縁遠い現象のひとつで。
先代の天一が死んだ時も、彼にとっては―――こんなことを言ったら朱雀に殺されそうだが―――たいした感慨を残すことではなかったのだ。
なのに何故、こいつなのだ?
胸中を駆け巡るこの感情は、おそらく『怖い』だ。
その感情の示すままに、天狐凌壽の右腕を叩き切り、燃やし。
息も絶え絶えに伝えられた事実に驚愕しこそすれ、その感情を上回るものではなく。
戦慄に酷似した恐怖が、全身を支配する。
背を守りあうのがあたり前だった。
傍らにあるのがあたり前だった。
常に対等で、支えられ手を貸し、時には不毛な言い争いで時を過ごし。
―――それが、なくなる?
どくりと身体の最奥で感情のうねりがはねた。
それに耐えるかのように、彼女を抱く腕にかすかに力をこめた。
「騰……っ…」」
「勾、喋るな」
呼ぶ声と共にごぼりと嫌な音がして、勾陣の唇の端から鮮やかな朱が滴り落ちる。
鋭利な声音に、彼女は僅かに口端をつり上げて笑って見せた。
―――知っている。もう、己は助からないだろう。
十二神将にも、死は訪れるのだ。それは他の神将より郡をぬいた生命力を持つ闘将の自分とて同じこと。
否、死ではない。記憶を全て失い再生されるだけ。
それだけのことだ。
とにかく早く戻らなければ、と踵を返す紅蓮の腕に力が入ったのを感じた。
「騰、蛇……待…」
「勾?」
それでも、なあ。
多分、“慧斗”は、“紅蓮”を。
「私、は……、お…前、…っ、…を……」
「喋るなっ…!」
声音に含まれる悲痛なそれを肌で感じた。
感じながらそれを黙殺して、勾陣は小さく頭をふった。
今言わないで、いつ言える? いつ、言える時がある?
声帯が焼ける。口の中に広がる血の味は、おそらく命の苦味。
声が出ない。一番言わなければならないと、勝手な本能がせかす言葉だけが出てこない。
――――――私は。
とうだ、と、唇だけを動かして告げるのが、精一杯だった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
唇が、騰蛇とつむいだ。
「慧斗、おい、慧斗っ・・・!!」
腕の中の質量が消え去っていく感触。
惧れながらも反射的に見た彼女の肢体は、仄かな燐光を発している。
あっという間、だった。
微粒子にとけた勾陣の身体を留めようと掻き抱くたび、光が指の間からもれていく。
どうにか掴めぬものかともがくが叶わず、紅蓮の腕の中で十二神勾陣は消えた。同時に胸を貫いた、二度目の衝撃。一度目のそれより重く、あっけなく、余韻の存在も許さぬままに消え去った。
死、ではない。
完全なる消失。
夜の水面に似たあの黒曜の瞳も、切りそろえられた夜闇の黒髪も。
勾陣を、…『慧斗』を偲べるものは、なにひとつ残されていなかった。
ただ、いつも彼女が扱っていたふたふりの筆架叉が残されただけだった。
無意識のうちに手をのばし、それを握り締め。
刃が紅蓮の掌に食い込み刀身が彼の血で新たに染まる。感じた痛みなどよりもなお強く大きく、何か大切な部分が欠けてそこからとめどなく真紅が溢れる錯覚がした。
「慧、斗…」
呆然と呟いた口は、それきり言葉を発することはなく。
ゆらりと立ち上った陽炎のような通力が真白の焔に姿を変え、曇天の空を突き抜けていった。
(なあ、何故お前だったんだ? その持ち主を失った言霊をどうやって昇華すればいい)
(…最期に言えなくてよかったよ、だからほら、私のこともその言霊もどこかに捨て去ってかまわないから)
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