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Be my precious 救出策第二(謎

紅勾なのかそうでないのか。
三人称なのか一人語りなのか。
というかそもそも何を書きたかたのか。

全てにおいて謎です(ぉ

とりあえず加筆修正。ほんとにちょぴっと加えただけー(ぇ







 月のような奴だと、思っていた。


 その光は魅せられるようなそれだけれども、決して暖かいとは言えない。むしろ冷淡さすら感じさせ、手をのばしても届くことはない。ありえない。
 そして、常に同じ面だけを見せつづるのだ。
 本性―――心、と、言うのか。そうとも言える裏面を誰にも見せることなく、また誰もがそれを当然だと受け止め、皆が皆遠巻きに眺めるだけ。
 人々の愛される対象になるか否かという点を除いて、まさに月のような男だと常々思っていた。そしてまた、その月が裏を見せることはないのだと。
 日のあたる世界に背を向けるくせに、陽光を膝を抱えて希んでいるような、けれど己から拒絶するような。幾つもの矛盾を手の内に握り締めている、言ってしまえばただのたわけだった。それだけは今でも変わっていないけれど。

 それが一転したのは、十数年前のことだ。

 ひとりの赤子が真っ直ぐに彼を見て、名を呼んで。何らかの反応はあると思った、その名を主以外が呼ぶことを彼は決して許さないから。
 しかしその反応は、己が予想していたそれらとはかけ離れていたものだったのだ。
 怒りではない。けれど無関心ではない。
 今まで己が見ることのなかった表情を浮かべた後に、あろうことかあの男は。

 ―――なんだ、昌浩。

 そう言って、……笑ったのだ。あの男が。
 無感動に敵を屠る金色はどこにも見受けられない、あるのはただ優しい黄金の瞳。
 それを見たとき、驚愕すると同時に覚えた安堵と、―――切なさ。


 月のような男だと思っていた。
 最も近しいのはおそらく己だった。
 だからその裏面を見るのは己だと、漠然と思っていたのだ。
(なんて愚かな、傲慢な思いあがりだったのか)

 けれども。

 裏面を引き出せたのは、あの子供だけだった。
 己はただ、あの子供に向けられる“裏側”を“見る”だけで。
 そして、その“裏側”に、魅せられた。
(その裏側の全てを知っていたわけでもないくせに)


 感じた安堵は、すべてを包み込む光を月が見出せたこと。
 感じた「切ない」は、その光に成り得なかったこと。


 今なら分かる。消え行く運命(さだめ)にあった命、それを欲し己が身を代償に手繰り寄せたのはあの子供。
 己には出来ない芸当だった。この魂は消失すれば再生する。その環を歪めてはならない。…けれど、しただろうか? 果たしてそのような暗黙の理がなければ、己は同じことをしたのか?
 自嘲にも似た疑問に対する答えは何度繰り返したところで変わらず、否、だ。
 約束をしたのだ。たったひとつ、あれと。道を踏み外せば殺す―――その行為自体は恐ろしいまでに容易に達せるだろう。なのに、それすらしなかった。
(命令だったのだ、と。何故己にそう言い聞かせている?)

 何が起こったのかは分からないが―――「光」も蘇えり、また同じ世界に光と月は存在することとなり。

 けれど、「光」が願った。忘れていいと。
 だから「月」は「光」を忘れた。
 また全てを拒み、孤独の中に身を堕とし。
 照らす対象を失った「光」もまた、痛みに耐えて「月」を欲して、その度に手をのばそうとして自制して。
 のばされかけた手があることを知らぬまま、「月」は「光」に“表側”を向ける。

 救いのない堂々巡りにだがしかし、己の在れる隙間などなく。



「まるで月だな」



 常々そう思っていた。今も同じように感じている。
 その月の持つ裏側に魅せられた。「光」の引き出した“本当”に。
 だから表側を見せられてもつまらない。己が欲するは「光」を受けた“裏側”だ。
(その“裏”に何を抱えるか、知ってしまったのならば戻れない)

 聞こえる。「光」の慟哭。
 逢いたいと逢えないと。見たいと見えないと。痛む心が、哭いている。
 あの月が欲しいと、泣いている。



 それに重なるその声は、誰、の、



 魅せられた。だから本能の赴くままに欲している。

 月が欲しいと泣いたのは、もしかしたら自分かもしれなかった。



 ―――違う。そうじゃない。
 そんなこと、あってはならないのだから。

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こちらでははじめまして!
こちらにまでお邪魔してしまいすみません。汗
拍手で何度もお世話になったあゆみです。
そしてだいぶ前の記事にコメントしてしまってすみません。汗
でも、小話が素敵すぎて思わず…

『月の裏側、欲したのは』

とても素敵でした!
思わず泣いてしまいそうになりました。
いえ、家族がいる手前泣くのは寸止めですが。笑
いつも思いますが、
碧波様のお話はホントに素敵で入り込んでしまいます。
甘いのも好きですが、基本シリアス大好きなので、ますます…!!
小話の中では

『例えばそんなひと時の』や、

いつもの日常、の記事に書かれている現代紅勾も大好きですv
…って拍手だけでなくこちらにまで出没してすみません。汗
これからも素敵な作品を生み出して下さいねv
楽しみにしています♪
それでは、長乱文失礼します…
あゆみ 2008/08/12(Tue)23:15:33 編集
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碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

今萌えてるもの
・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

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