Be praying. Be praying. Be praying.
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女の声がする。
それは凛と穏やかにそして艶やかに。時に笑みを乗せ時に悲しみの色を時に呆れを含み時に怒りを宿し時に慄くほどの愛情そのものとして、いつしか紅蓮の耳に満腔に心の臓にやがては魂に馴染んだ。
――騰蛇。
彼の名だ。紅蓮の真の名。彼という個を表すよりも彼の魂を表す性質を強く持つ。確かに誰かに必要とされるものではなく、むしろその逆、畏怖と恐驚ゆえに遠巻きに忌み嫌われただひとりで時間を食いつぶし訪れることのない終焉をただじっと待っていた、他者と関わることもなく、関われば相手を傷つけ壊す以外の未来を持たない、何一つとして存在意義を見いだせぬ存在としての名である。いっそ笑えるほど哀れなことに、自身にさえも忌み嫌われていた。否、今なお、彼は『騰蛇』である己を時に否定する。騰蛇の力が彼の大切な物を守る際に有用であり続ければ良いのだが、残念、そして皮肉なことに、騰蛇の強大な力は壊すには十二分であるのに守るにはまったくもって足りないのだ。
だから要らないのだ。『騰蛇』など。
――あの声が呼んでくれないのなら。
あの声が呼ぶ。騰蛇。応える。時に呼びかける。勾。その一瞬だけ紅蓮は『騰蛇』を許せた。あの声だけだ。あの声だけが、彼女だけが、彼の生と同様に彼の名の意味を持っている。
他の小ネタにくっつけて短編に組み込もうと思ってたけどむりっぽいからここに。
それは凛と穏やかにそして艶やかに。時に笑みを乗せ時に悲しみの色を時に呆れを含み時に怒りを宿し時に慄くほどの愛情そのものとして、いつしか紅蓮の耳に満腔に心の臓にやがては魂に馴染んだ。
――騰蛇。
彼の名だ。紅蓮の真の名。彼という個を表すよりも彼の魂を表す性質を強く持つ。確かに誰かに必要とされるものではなく、むしろその逆、畏怖と恐驚ゆえに遠巻きに忌み嫌われただひとりで時間を食いつぶし訪れることのない終焉をただじっと待っていた、他者と関わることもなく、関われば相手を傷つけ壊す以外の未来を持たない、何一つとして存在意義を見いだせぬ存在としての名である。いっそ笑えるほど哀れなことに、自身にさえも忌み嫌われていた。否、今なお、彼は『騰蛇』である己を時に否定する。騰蛇の力が彼の大切な物を守る際に有用であり続ければ良いのだが、残念、そして皮肉なことに、騰蛇の強大な力は壊すには十二分であるのに守るにはまったくもって足りないのだ。
だから要らないのだ。『騰蛇』など。
――あの声が呼んでくれないのなら。
あの声が呼ぶ。騰蛇。応える。時に呼びかける。勾。その一瞬だけ紅蓮は『騰蛇』を許せた。あの声だけだ。あの声だけが、彼女だけが、彼の生と同様に彼の名の意味を持っている。
他の小ネタにくっつけて短編に組み込もうと思ってたけどむりっぽいからここに。
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