忍者ブログ
Be praying. Be praying. Be praying.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ちょっと書いてみたくなったのでいつかメモったギャグ設定での小話投下しときます。

にしてもギャグって難しいですね、全然勝手が分かんないしどういう表現が人を笑わせるのかもよく分かんない。面白いの書けるひとのセンスが欲しいです羨ましいな。




太+玄+裳で現代パラレルです。我が家の太裳は何でもアリなのです。




 太陰と玄武がその現場を見てしまったのはまったくの偶然である。そして彼らはこの偶然を酷く恨んだ。と言うか「家政婦は見た」でもないんだからこういう発見は正直いらない。誰かこの記憶貰ってくれませんかーとふたりは言葉を交わすこともなく全く同じ現実逃避をしていた。
 そんな彼らの心境を知ってか知らずか、安倍家のキッチンにいた彼は振り返って穏やかに笑った。

「おや、玄武と太陰ですか。どうしました? そんなところで固まって」

 十割がた貴方のせいです、とこれまたシンクロして唇だけで呟いてから太陰が答える。

「喉、渇いたから。お茶でも飲もうって思って」
「そうですか」

 ひとつ頷いてから太裳はプラスチックのマグカップをふたつ、食器棚から取り出して、それぞれのカップに氷を入れた後冷蔵庫から出した麦茶を注いでテーブルに置いてくれた。太裳のこういうささやかな気づかいは一級品だ。

「あ、ありがと…」
「…すまんな、太裳」
「いえいえ」

 にこにこと笑顔を絶やさない太裳であるのだが、玄武も太陰も『ソレ』が気になって太裳の笑みを素直には受け取れない。この同胞の性情を彼らは知っている。というより、約一名を除いて十二神将の全員が分かっている。
 麦茶を飲みつつちらちらと彼らは目で会話をした。玄武言いなさいよ、いや太陰から言え、とつまりは『ソレ』をどちらが話題に乗せるかの静かな押し付け合いだ。
 昔からこう言う時に根負けするのは玄武である。
 玄武はしばらく迷ってから「太裳」と呼びかけた。

「何ですか?」

 首を傾げる太裳を黒か白かに色分けするなら一見白に思われる。だが騙されてはいけない。

「………『ソレ』は何だ?」

 玄武は指さした。シンクの隣にある調理スペースの上に鎮座しているミキサーを。
 この場合ミキサーが問題なのではなく問題なのはもちろんその中身だ。

「ありえない色をしているように思えるのだが…」

 確かにその中身の色は食料としても無機物としても、取り敢えずこの世に存在が許されている物が持つ色ではない。
 一言で言えば深緑を基調としたマーブルだ。この時点でいろいろ無茶苦茶なのだが、それもところどころ何か光っているようにも見えるのでもう救えない。何をした太裳。

「……………まあ、何でもありませんよ」

 にっこり、とさらに笑みを深めた太裳だが、返答までのその間は何だ。

「強いて言えば趣味ですかねぇ……」
「そこちょっと無茶苦茶言わないでよ!?」

 次いで出てきた爆弾どころかどこのリトルボーイだと言わんばかりの発言に、耐えきれずに太陰が突っ込んだ。
 十二神将のひとりの趣味が毒薬製作。やめてくれ。まだ毒だと言えるわけではないのだがあの色はどう考えても毒以外に考えられない。
 もしくは……似たものを指すとすれば、既にあれは何のギャグだバトルだと突っ込みどころ満載な某テニス漫画の某データ眼鏡が作る殺人ドリンクである。……いや、あのドリンクも正直毒認定を受けてもおかしくない。ということは結局毒かそうなのか。
 むしろ太裳の性格を知っているから笑い飛ばしたくなるギャグであるはずなのに笑えない。

「流石に冗談ですよ、ちょっと試しに作ってみたくなっただけです。まぁ、確かにやりすぎたと反省はしていますが」

 そしてたぶん後悔はしていない。

「あの色物体として何かがおかしいだろう」
「食材しか使っていないはずなのですがねぇ」
「嘘言わないでよ…」

 原材料がすべて食材のものを毒物に進化、いいや退化させるとは何事だ。しかも笑えないことに太裳はそれを意図的にやってのけている。無意識にやってのけている者がひとりいるのだがそちらは邪気がないのでまだマシ……ではないか。あれの凶悪さも異常だ。

「だが、においはないのだな。何だかすさまじい色だから、あってもおかしくないように思うのだが」
「ふふっ、玄武、私がそんな失態を犯すと思っているのですか? 無臭は基本中の基本ですよ」

 もういろいろ突き抜けすぎて突っ込みが追いつかない。玄武は唇の端をかすかにひきつらせて「……そうなのか」と相槌を打つことに成功した。

「と言うか、果てしなく使い道ないじゃないそれ」

 少し立ち直った太陰がソレを指差す。

「そうですねぇ。流石に理を犯すわけにはいきませんし」

 人間が死ぬような強力な毒素を作りだすな。と当たり前の突っ込みさえ入れる気力はもうふたりには残っていない。誰か助けてくれ、昌浩でも六合でも白虎でも朱雀や天一でもこの際戦力にはならないだろうけど騰蛇でも青龍でもいいから誰か突っ込み担当がもうふたりか三人欲しい。
 この場合面白がって太裳側につくのが明白な勾陣と何故か太裳側にいることが多くてなかなか重度な天然が入っている天后はカウントされない。
 だが、これだけは突っ込んでおくべきだろうと判断して、念のために太陰は尋ねた。

「……青龍か騰蛇のお皿にこっそり混ぜ込んでみて効力確かめるとか言うのはやめてよね」

 太裳がきょとんと太陰を見た。
 どうしようこの人突っ込まなかったら絶対やるつもりだったに違いない。

「いえいえ、そこまで私も非道ではありませんよ」

 どうだか、と言える猛者はここにはいなかった。

「ただ、何滴くらいまでなら混ぜても平気だろうと少し考えていただけで」

 それはあれか致死量は数滴ということかどれほど強力な毒素だその深緑マーブル色ドリンク(推定)は。と言うかその発言は自らの創作物を毒物認定していることになるのだが。
 にこにこと相変わらずの笑みを浮かべている太裳にこれ以上突っ込む気力も沸かず(ふたりはいつものらくらとかわされつつも逐一の突っ込みを諦めない青龍と騰蛇を尊敬した)、取り敢えずは『ソレ』の被害者が出ないことを祈った。






 余談だがその後、創作者からも毒物認定をくらった飲み物は、適当に小麦粉をこねて作られた団子(原材料・小麦粉オンリー)に混ぜられたらしい。試しに天井裏に置いてみたら死んでいるネズミの数が劇的に増えたとか。ホウサン団子より何倍も強力で凶悪だ。
 被害にかかる確率が高かった例のふたりが無事だったのは、勾陣が太裳に、これ以上騰蛇が倒れると露樹や六合の負担が増えるし青龍が倒れると天后が泣くからやめておれ、と進言してくれた結果だ。
 しかし彼女は彼らふたりのこと自体はまったく心配しておらず、またもや偶然その会話を聞いてしまった玄武と太陰は彼らがあまりにも哀れに思えて思わず天井を仰いでいたのが六合によって発見されていた。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
«お返事]  [HOME]  [四回目»
忍者ブログ [PR]

Template by wolke4/Photo by 0501
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
碧波 琉(あおば りゅう)
少年陰陽師・紅勾を中心に絶えず何かしら萌えor燃えている学生。
楽観主義者。突っ込み役。言葉選ばなさに定評がある。
ひとつに熱中すると他の事が目に入らない手につかない。

今萌えてるもの
・紅勾、青后、勾+后(@少年陰陽師)

主な生息地↓
twitter
最新CM
[12/26 匿名さん]
[06/30 慎]
[09/22 朝比奈]
ブクログ